NSJ住宅性能研究所

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2025年4月 建築基準法改正 木造軸組構法住宅の構造検討シリーズ6

壁配置のバランス2

■「四分割法」による耐力壁のバランスチェックの流れ

「四分割法」とは、建物の耐震性能を確認するために、床面をX・Y方向に4つのエリア(側端部分)に分けて、それぞれに耐力壁が十分に配置されているかを調べる方法です。


手順は以下の通りです:

(1) 必要な耐力壁の量(=必要壁量)を計算する

→ 各側端部分の床面積に、基準として定められた「1㎡あたりに必要な耐力壁の量」をかけて求めます。

※側端部分とは、建物を四つに分割したときの端のブロックです

(2) 実際にある壁の量(=存在壁量)を計算する

→ 側端部分にある耐力壁の長さ × 耐力壁の倍率を合計して求めます。

※原則として「準耐力壁」は含めません(例外あり)

(3) 「壁量充足率」と「壁率比」を求める

壁量充足率 = 実際にある壁量 ÷ 必要な壁量

→ 各側端部分で「どのくらい必要な壁を満たせているか」を表します。

壁率比 = 壁量充足率が少ない側 ÷ 壁量充足率が多い側

→ 耐力壁量の差のバランスを表す指標です。

(4) 判定(バランスが取れているかどうか)

次の3つのステップでバランスをチェックします:

判定①:各側端部分の「壁量充足率」がすべて1.0(=必要量100%)を超えているか

判定②:「壁率比」が0.5以上あるか(※偏っていないか)

判定③:①または②のどちらかを満たせば「適合(OK)」とする

→ どちらも満たさない場合(不適合)は、壁の配置や量を見直す必要があります。例えば、壁の少ない側に新たに壁を追加したり、耐力壁を建物の中央寄りに動かすなどの対応が求められます。



【注意点】下屋(1階の屋根だけの部分)の扱いについて

2階建ての建物で、1階の一部にしか2階が載っていない場合、その「1階部分」に2階が載っているかどうかによって「必要壁量」の計算方法が変わります。

2階が載っていない部分(下屋)は「平屋」として扱い、必要壁量は少なくなります。

一部でも2階が載っている場合は「2階建ての1階部分」として、より大きな壁量が必要になります。

→ このように取り扱うのは、安全性を確保するため、「厳しめに計算(不利側で判断)」するためです。

以上が、「四分割法」の概要と、バランスチェックの手順です。建物の耐震性を確保するうえで、壁の「量」だけでなく「配置のバランス」も重要になります。

次回は、③柱頭柱脚接合部(「N値計算法」と呼ばれる計算法)について、お話します。

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