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◎柱の座屈強度で注意すべき3つのポイント|欠き込み・曲げ・吹き抜け柱のリスクを解説 ■柱の座屈強度とは? 木造住宅の柱は、建物の重さを支える重要な部材です。 柱には主に上からの力、つまり圧縮力がかかります。 ただし、柱は単純につぶれるだけでなく、細長い部材であるため、ある程度以上の力が加わると、横方向に曲がるように変形して壊れることがあります。 これを座屈といいます。 たとえば、細長い定規を両端から押すと、途中で横にグニャッと曲がります。 柱の座屈も、これと似た現象です。 木造住宅の柱を安全に設計するには、単に柱の太さを見るだけでなく、欠き込みの有無、曲げの影響、座屈長さに注意する必要があります。
■注意点1:柱の欠き込みは座屈強度を大きく低下させる 柱の座屈強度でまず注意したいのが、欠き込みです。 欠き込みとは、配管・仕口・金物・納まりなどの都合で、柱の一部を削り取ることです。 柱の断面が削られると、その部分の断面性能が低下し、座屈に対して弱くなります。 建築基準法施行令43条4項では、柱の所要断面積の3分の1以上を欠き取る場合には、その部分を補強しなければならないとされています。 ここで重要なのは、欠き取った量と強度低下の割合は、単純に比例しないということです。 たとえば、柱の片側を4分の1程度欠き取っただけでも、欠き取られた方向への座屈強度は、単純に「4分の1低下する」程度では済まない場合があります。 柱は断面のバランスが崩れると、特定の方向に曲がりやすくなるためです。 柱の欠き込みは、見た目以上に構造性能へ影響する可能性があります。 ●欠き込みで注意すべきポイント 柱の欠き込みを見るときは、次のような点に注意が必要です。 ・どの方向に欠き込みがあるか ・欠き込みによって断面がどれだけ小さくなっているか ・欠き込み部分に補強がされているか ・柱に大きな荷重がかかっていないか ・吹き抜けや開口部まわりなど、座屈しやすい場所ではないか 特に耐震改修やリノベーションでは、既存の柱に予想外の欠き込みが見つかることがあります。 その場合は、「少し削れているだけ」と軽く考えず、構造上の影響を確認することが大切です。 ■注意点2:柱にはできるだけ曲げを加えない 2つ目の注意点は、柱に曲げを加えないことです。 柱は、基本的には上からの圧縮力を受ける部材です。 しかし、実際の建物では、柱に圧縮力だけでなく、横方向の力や曲げが加わることがあります。 圧縮力がかかっている柱に曲げが加わると、柱には複合応力が発生します。 複合応力とは、ひとつの部材に複数の力が同時に作用している状態です。 この場合、柱は「上から押されながら、横にも曲げられている」状態になります。 このような状態になると、柱は単純な圧縮だけを受けている場合よりも、座屈しやすくなります。 ●吹き抜けの柱は複合応力に注意 吹き抜けまわりの柱は、複合応力が問題になりやすい場所です。 吹き抜け部分では、2階床や梁が一部なくなるため、柱が横方向に支えられにくくなります。 風圧力や地震力によって横方向の力を受けると、柱に曲げが生じやすくなります。 その結果、柱には圧縮力と曲げが同時に作用し、座屈に対して不利な状態になります。 吹き抜けの柱は、単に「柱があるから大丈夫」と考えるのではなく、 ・柱にどの方向から力がかかるのか ・どの方向に支えがあるのか ・曲げを受ける納まりになっていないか を確認することが重要です。 ■注意点3:吹き抜けの通し柱は座屈長さが長くなる 3つ目の注意点は、吹き抜けに通し柱を使う場合です。 通し柱とは、1階から2階まで連続して立ち上がる柱のことです。 通常の柱であれば、各階の梁や床によって途中で支えられるため、座屈長さはある程度短くなります。 しかし、吹き抜け部分では、吹き抜け側に2階の梁や床がありません。 そのため、その方向については、柱が途中で支えられず、1階床面から2階の軒桁付近までが座屈長さとして考えられる場合があります。 座屈長さが長くなると、柱は一気に座屈しやすくなります。 短い棒よりも長い棒の方が、押したときに曲がりやすいのと同じです。 ●座屈長さが長い柱はなぜ危険なのか? 柱の座屈強度は、柱の太さだけで決まるわけではありません。 柱の長さや横方向の支えの有無も大きく影響します。 特に、横方向に支えられていない長い柱は、圧縮力を受けたときに横へ曲がりやすくなります。 そのため、吹き抜けに面する柱では、通常の柱よりも慎重な検討が必要です。
■吹き抜け柱の対策方法 吹き抜けまわりの柱で座屈が問題になる場合には、いくつかの対策が考えられます。 代表的な方法は、次のようなものです。 1. 吹き抜け側に強い長方形断面の柱を使う 吹き抜け側に対して座屈しにくくするため、柱を正方形ではなく、吹き抜け方向に寸法の大きい長方形断面にする方法があります。 柱は、曲がりやすい方向と曲がりにくい方向があります。 弱い方向に対して断面を大きくすれば、座屈に対する抵抗力を高めることができます。 2. 通し柱ではなく横架材勝ちの納まりにする 横架材勝ちとは、柱を1階から2階まで連続させるのではなく、梁や桁などの横架材を優先して納める考え方です。 通し柱にすると、吹き抜け側で座屈長さが長くなりやすい場合があります。 そのため、あえて通し柱にせず、横架材をしっかり通して、柱を階ごとに区切るような納まりにすることで、柱の座屈長さを抑えやすくなります。 3. 耐風梁を設計する 吹き抜け部分では、風圧力などによって柱や外壁に横方向の力がかかることがあります。 力を適切に受けるために、耐風梁を設ける方法があります。 耐風梁とは、風などによる水平力を受けて、柱や壁の変形を抑えるための梁です。 吹き抜けのように床や梁が少ない空間では、耐風梁を適切に設計することで、柱に過大な曲げや座屈リスクが生じにくくなります。 ■柱の座屈強度は「太さ」だけで判断できない 柱の座屈強度を考えるとき、柱の断面寸法だけを見て判断するのは危険です。 もちろん、柱が太いほど有利になることはあります。 しかし実際には、次のような条件が大きく影響します。 ・欠き込みがあるか ・断面欠損がどの方向にあるか ・柱に曲げが加わっていないか ・吹き抜けなどで横方向の支えが少なくないか ・座屈長さが長くなっていないか ・耐風梁や横架材で適切に補強されているか 特に吹き抜けまわりの柱は、見た目には開放的で魅力的ですが、構造的には注意が必要です。 吹き抜けによって梁や床がなくなると、柱の支えが減り、座屈長さが長くなる可能性があります。 そのため、意匠上の開放感と構造安全性のバランスを取りながら設計することが重要です。 <まとめ>柱の座屈強度で注意すべき3点 柱の座屈強度で特に注意すべき点は、次の3つです。 1. 欠き込みによる断面性能の低下 柱の一部を欠き取ると、座屈強度が大きく低下する可能性があります。 特に片側からの欠き込みは、欠き取られた方向への座屈に注意が必要です。 2. 圧縮力と曲げによる複合応力 柱に圧縮力だけでなく曲げが加わると、複合応力となり、座屈に対して不利になります。 吹き抜けまわりの柱では、この状態になりやすいため注意が必要です。 3. 吹き抜け通し柱の座屈長さ 吹き抜けに通し柱を用いると、吹き抜け側に2階梁がないため、座屈長さが長くなる場合があります。 座屈長さが長くなると、柱の座屈強度は大きく低下します。 木造住宅の柱は、単に建物を支えるだけでなく、地震や風に対しても重要な役割を持っています。 特に吹き抜けや大開口を設ける場合は、柱の座屈強度を慎重に確認し、必要に応じて断面の変更、横架材勝ちの納まり、耐風梁の設計などを検討することが大切です。 次回は、柱の座屈強度2について、お話します。
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