NSJ住宅性能研究所

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鉛直荷重と局部荷重(木造住宅)シリーズ9

柱の座屈強度

◎柱の座屈強度とは?圧縮強度と細長比から考える木造住宅の柱の安全確認

■柱は「上からの重さ」を支える重要な部材

木造住宅の柱は、建物を支えるとても重要な部材です。

特に柱が主に受け持つのは、屋根・床・梁・壁などから伝わってくる鉛直荷重、つまり上から下にかかる重さです。

そのため、柱の安全性を確認するときには、まず

「その柱にどれくらいの重さがかかっているか」

を把握する必要があります。


■柱が負担する荷重はどう考えるのか

柱にかかる荷重は、基本的に柱の周囲にある横架材、つまり梁や桁などが受けている荷重から考えます。

イメージとしては、柱と柱の間に梁がかかっている場合、その柱は隣の柱との中間あたりまでの荷重を負担すると考えます。

たとえば1階の柱であれば、

・屋根面の荷重
・小屋面の荷重
・2階床の荷重
・その上に載る壁や仕上げの荷重

といったものを順番に拾い出し、合計していきます。

つまり、1階の柱は単に1階部分だけを支えているのではなく、上階や屋根から伝わる重さも含めて負担している、ということです。


■柱の安全確認で重要になる「座屈」とは

柱は上から押される部材です。

このとき、単純につぶれるだけでなく、細長い棒のように途中で横にはらみ出して曲がることがあります。

これを座屈といいます。

たとえば、細い定規を両端から押すと、真ん中あたりが横に曲がります。

柱の座屈も、基本的なイメージはこれに近いです。

木材そのものに圧縮強度があっても、柱が細長いと、材料がつぶれる前に横へ曲がってしまう可能性があります。

そのため、柱の検定では「圧縮に強いか」だけでなく、座屈しにくいかを確認することが重要になります。


■座屈強度は「圧縮強度」と「細長比」で決まる

柱の座屈強度は、大きく分けると次の2つに影響されます。

●1つ目は、木材そのものの圧縮強度です。

これは、木材が上から押されたときにどれくらい耐えられるかを示す性能です。

●2つ目は、柱の細長比です。

細長比とは、簡単にいうと「柱がどれくらい細長いか」を表す数値です。

柱が太くて短ければ、横にはらみにくくなります。

反対に、柱が細くて長ければ、座屈しやすくなります。

つまり、柱の安全性は、

木材の強さ × 柱の太さ・長さのバランス

で決まると考えると分かりやすいです。


■細長比が大きい柱ほど座屈しやすい

構造計算では、細長比をλ、ラムダと呼びます。

この細長比が大きいほど、柱は細長い状態になります。

そして、細長い柱ほど座屈しやすくなるため、柱の強度はその分だけ低く評価されます。

この低減を表す係数が、座屈低減係数η、イータです。

柱の座屈強度は、ざっくり言えば、

基準圧縮強度 × 座屈低減係数η

で考えます。

座屈低減係数が小さくなるほど、柱の座屈強度も小さくなります。

つまり、同じ木材を使っていても、柱が細長くなると、実際に期待できる強度は下がるということです。


■節や欠点があると座屈位置に影響することもある

実験では、柱の中央付近に節などの欠点がある場合、その部分をきっかけに座屈することがあります。

これは、柱が完全に均一な材料ではないためです。

木材には節、割れ、繊維方向の乱れなどがあり、そうした部分が弱点になることがあります。

現場で柱や部材を確認するときに、断面寸法だけでなく、欠き込み・穴あけ・大きな節・損傷などを見るのは、このような理由があります。


■ヒノキとスギでは座屈強度に差が出る

座屈低減係数が同じであれば、柱の座屈強度は木材の圧縮強度に比例します。

たとえば、ヒノキはスギよりも圧縮強度が高いため、同じ条件で比較すると座屈強度も高くなります。

目安として、ヒノキはスギの約1.3倍程度の強度を持つと考えられます。

つまり、同じ柱寸法でも、使う樹種によって安全性に差が出るということです。


■柱サイズを105mm角から120mm角にすると効果が大きい

柱の強度を上げる方法として、材種を変えることも有効ですが、もう一つ大きな効果があるのが柱のサイズアップです。

たとえば、柱を105mm角から120mm角にすると、座屈強度は約1.7倍になるとされています。

これはかなり大きな差です。

木造住宅では、105mm角の柱がよく使われますが、荷重が大きくかかる柱や、座屈に対して余裕を持たせたい柱では、120mm角にすることが有効な場合があります。

特に、上階の荷重が集中する柱、開口部まわりの柱、耐力壁の端部にある柱などは、単に「柱があるから大丈夫」と考えるのではなく、実際にどの程度の荷重を負担しているかを確認することが大切です。



■木造住宅の柱は「本数」よりも「どの柱に荷重が集まるか」が重要

住宅には多くの柱があります。

しかし、すべての柱が均等に荷重を負担しているわけではありません。

外周部の柱、梁を受ける柱、上階の柱が重なる柱、開口部の近くにある柱などには、荷重が集まりやすくなります。

そのため、柱の安全確認では、

柱の本数が多いかどうか

よりも、

どの柱に大きな荷重がかかっているか

を見ることが重要です。

これは、耐震診断や補強設計でも非常に大切な視点です。


<まとめ>柱の座屈強度は「材料の強さ」と「柱の形状」で決まる

柱の座屈強度を理解するうえで大切なのは、次の3点です。

・柱は、屋根・床・壁などから伝わる鉛直荷重を支えている
・細長い柱は、材料がつぶれる前に横へ曲がる「座屈」が問題になる
・座屈強度は、圧縮強度だけでなく、細長比や柱サイズの影響を大きく受ける

特に木造住宅では、柱の断面寸法、材種、荷重の集中、欠き込みや損傷の有無を総合的に見て判断する必要があります。

柱は、ただ立っているだけの部材ではありません。

建物の重さを受け止め、上から下へ力を伝える重要な構造部材です。

だからこそ、木造住宅の構造設計や耐震改修では、柱の座屈強度を丁寧に確認することが、安全な住まいづくりにつながります。


次回は、座屈強度の注意点について、お話します。

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