NSJ住宅性能研究所

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鉛直荷重と局部荷重(木造住宅)シリーズ7

柱の断面検定

■柱の断面検定とは?木造住宅の柱サイズと座屈をわかりやすく解説

木造住宅において、柱は建物の重さを支える重要な構造部材です。

屋根や2階の床、壁、家具、人の重さなど、建物にかかる荷重は柱を通って基礎へ伝わります。

そのため、柱が細すぎたり、階高に対して長すぎたりすると、建物を安全に支えられない可能性があります。

柱の安全性を確認する作業が、柱の断面検定です。

特に耐震診断や耐震改修では、古い住宅に使われている細い柱を確認することがあり、柱の太さ・高さ・荷重・座屈の検討が重要になります。


■柱の断面検定とは

柱の断面検定とは、柱が建物から受ける荷重に対して、安全に耐えられるかを確認することです。

柱は、ただ建物の中に立っているだけではありません。

上からかかる重さを受け止め、力を下の階や基礎へ伝える役割を持っています。

そのため、柱の断面検定では、主に次のような点を確認します。

・柱の断面寸法が十分か
・柱にかかる荷重に耐えられるか
・柱が細長すぎて座屈しないか
・階高に対して柱の小径が適切か

つまり、柱の断面検定は、柱の太さだけを見る確認ではなく、柱の高さや荷重とのバランスを見る検討だといえます。


■木造住宅の柱は105mm角が一般的

現在の木造住宅では、柱のサイズとして105mm×105mmがよく使われています。

いわゆる「3.5寸角」の柱です。

一方で、古い木造住宅では、現在よりも細い柱が使われていることがあります。

昔は木材が貴重だったこともあり、断面の小さい柱が使用されている住宅も少なくありません。

耐震診断や耐震改修の現場では、小径が100mmにも満たない柱に出くわすこともあります。

このような場合、現在の感覚で「柱があるから大丈夫」と判断するのではなく、その柱が実際に建物を安全に支えられるかを確認する必要があります。


■建築基準法における柱の小径の考え方

柱の太さについては、建築基準法施行令第43条に仕様規定が定められています。

ここでは、柱の小径について、横架材相互間の垂直距離との比率をもとにした考え方が示されています。

少し難しい表現ですが、簡単にいうと、

柱の高さに対して、柱が細すぎてはいけない

というルールです。

ここでいう「横架材相互間の垂直距離」とは、梁や桁などの横架材に挟まれた柱の長さを指します。

一般的な住宅では、おおむね階高に近いイメージで考えるとわかりやすいです。

柱は、太さと高さのバランスが大切です。

同じ105mm角の柱でも、高さが低ければ安定しやすく、高さが高くなるほど不安定になりやすくなります。


■柱が細長いと座屈しやすくなる

柱の断面検定で重要になるのが、座屈です。

座屈とは、柱に上から大きな力がかかったとき、柱がまっすぐ潰れるのではなく、横に曲がるように変形してしまう現象です。

イメージとしては、細長い棒を縦に立てて上から押したとき、途中で横に曲がってしまう状態です。

柱も同じで、細くて長い柱ほど座屈しやすくなります。

つまり、柱の安全性を考えるときには、

・柱の太さ
・柱の高さ
・柱にかかる荷重

をセットで確認する必要があります。


■有効細長比150以下とは

柱の座屈しやすさを判断する指標として、有効細長比があります。

有効細長比とは、簡単にいうと、柱がどれくらい細長いかを表す数値です。

この数値が大きいほど、柱は細長く、座屈しやすいと考えます。

柱の検討において「有効細長比は150以下」という制限が示されています。

つまり、柱の小径が小さい場合には、許容できる柱の高さも低くなります。

反対に、階高を高くしたい場合には、柱の断面を大きくするなどの検討が必要になります。



■105mm角の柱で考える階高の目安

一般的な瓦屋根の木造住宅を例にすると、105mm角の柱では、階高の目安は次のように考えられます。

●2階の柱の場合

2階では、105mmの30倍として考えると、

105mm × 30 = 3150mm

となります。

つまり、2階の柱では、おおむね3.15m程度がひとつの目安になります。

●1階の柱の場合

1階では、105mmの28倍として考えると、

105mm × 28 = 2940mm

となります。

つまり、1階の柱では、おおむね2.94m程度がひとつの目安になります。

1階の方が2階よりも条件が厳しいのは、1階の柱が2階や屋根など、より多くの荷重を受けるためです。


■一般住宅では問題になりにくいが、店舗併用住宅では注意

一般的な木造住宅では、階高が極端に大きくなることは少ないため、105mm角の柱で大きな問題になるケースは多くありません。

しかし、次のような建物では注意が必要です。

・1階を店舗として使う住宅
・天井を高くしたい建物
・吹き抜けのある住宅
・古い木造住宅
・耐震改修で既存柱が細い住宅
・大きな荷重を受ける柱がある建物

特に、1階を店舗として使う場合は、住宅よりも階高を高くしたいケースがあります。

その場合、柱が細長くなり、座屈のリスクが高くなる可能性があります。

そのため、柱の断面寸法だけでなく、階高や荷重条件を踏まえた構造的な確認が必要です。


■耐震改修では既存柱の断面確認が重要

耐震改修では、既存の柱をそのまま活かすことも多くあります。

しかし、古い住宅では、現在の標準的な105mm角よりも細い柱が使われていることがあります。

また、劣化や欠損、シロアリ被害などによって、柱の実質的な断面性能が低下している場合もあります。

そのため、耐震改修では、単に壁量を増やすだけではなく、柱そのものが安全に荷重を支えられるかを確認することが大切です。

柱が細い場合や劣化している場合には、補強柱の追加、柱の抱き合わせ補強、荷重の伝達経路の見直しなどを検討する必要があります。


■柱の断面検定で確認すべきポイント

柱の断面検定では、次のようなポイントを整理して確認します。

●柱の小径

柱の断面サイズが十分かを確認します。

105mm角なのか、120mm角なのか、あるいは100mm未満なのかによって、安全性の判断が変わります。

●柱の高さ

柱がどれくらいの長さで使われているかを確認します。

同じ断面でも、柱が長くなるほど座屈しやすくなります。

●柱にかかる荷重

柱が受ける鉛直荷重を確認します。

上階の床、屋根、壁、積載荷重などが柱に伝わるため、柱の位置によって負担する荷重は異なります。


●座屈のしやすさ

有効細長比などを用いて、柱が座屈しやすい状態になっていないかを確認します。


<まとめ>柱の断面検定は建物の安全性を支える基本確認

柱の断面検定は、木造住宅の安全性を確認するうえで非常に重要な検討です。

現在の木造住宅では105mm角の柱が一般的ですが、古い住宅や耐震改修の現場では、より細い柱が使われていることもあります。

柱の安全性を判断するには、柱の太さだけでなく、階高、荷重、座屈のしやすさを総合的に確認する必要があります。

特に、1階を店舗として使う建物や、階高を大きくとる建物では、柱が細長くなりやすいため注意が必要です。

柱は、建物の重さを基礎へ伝える大切な部材です。

だからこそ、柱の断面検定では、柱の太さ・高さ・荷重・座屈を丁寧に確認することが、木造住宅の安全性を高める第一歩になります。


次回は、柱の荷重負担について、お話します。

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