NSJ住宅性能研究所

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鉛直荷重と局部荷重(木造住宅)シリーズ2

曲げ・せん断・たわみの検定

■横架材の断面検定とは?曲げ・せん断・たわみで梁せいが決まる理由

木造住宅の梁や桁などの横架材は、床・屋根・上階の柱や壁から受けた荷重を、柱や基礎へ伝える重要な構造部材です。

横架材の断面を決めるときは、単に「太ければ安全」という考え方ではなく、許容応力度計算によって、主に次の3つを確認します。

・曲げに耐えられるか
・せん断に耐えられるか
・たわみが許容範囲に収まるか

つまり、横架材の断面検定では、曲げ・せん断・たわみの3項目を確認し、その中で最も厳しい条件を満たす断面寸法を選定します。


■横架材にかかる力とは?

横架材に加わる力には、主に次の3つがあります。

・1つ目は、部材を曲げようとする曲げモーメント
・2つ目は、部材をずらすように働くせん断力
・3つ目は、部材の軸方向に働く軸力です

ただし、一般的な木造住宅の横架材では、軸力が断面決定の大きな要因になることはあまりありません。

そのため、実務上は主に、曲げモーメント・せん断力・たわみを確認して、梁せいや梁幅などの断面寸法を決めていきます。


■曲げモーメントはスパンの2乗で大きくなる

横架材には、床や屋根、上階の壁・柱などから、主に下向きの鉛直荷重がかかります。

荷重によって梁が曲げられるときに生じる力が、曲げモーメントです。

単純梁に等分布荷重がかかる場合、曲げモーメントはスパンの2乗に比例して大きくなります。

たとえば、スパンが2倍になると、曲げモーメントは2倍ではなく、4倍になります。

一方で、曲げに抵抗する断面性能である断面係数は、梁せいの2乗に比例します。

そのため、曲げに対する基本的な考え方としては、スパンが2倍になれば、梁せいもおおむね2倍必要になると理解すると分かりやすいです。


■せん断力は梁端部で最大になる

次に重要なのが、せん断力の検定です。

せん断力とは、部材を上下にずらすように働く力です。

梁でいえば、支点付近で部材が切られるように壊れようとする力、と考えるとイメージしやすくなります。

単純梁に等分布荷重がかかる場合、せん断力はスパンに比例します。

つまり、スパンが2倍になると、せん断力もおおむね2倍になります。

また、せん断に対する断面性能は、梁せいに比例します。

そのため、せん断についても、スパンが長くなるほど梁せいを大きくする必要があります。

特に注意したいのは、せん断力は梁端部で最大になるという点です。

梁端部には、仕口や欠き込みが設けられることもあります。

そのため、梁端部で有効断面積が不足していないかを確認することが重要です。


■木造住宅では「たわみ」の検定も重要

横架材の断面を決めるうえで、木造住宅ではたわみの確認も非常に重要です。

たわみとは、梁が荷重を受けて下に変形することです。

たわみが大きすぎると、床がふわふわしたり、建具の動きが悪くなったり、内装材に不具合が出たりする可能性があります。

つまり、たわみの検定は、部材が壊れるかどうかという「強度」の確認とは少し違います。

建物を快適に使えるかどうかを確認する、使用性の検定といえます。


■たわみはスパンの4乗で大きくなる

単純梁に等分布荷重がかかる場合、たわみはスパンの4乗に比例して大きくなります。

つまり、スパンが2倍になると、たわみは16倍になります。

ここが、曲げやせん断と大きく違うところです。

一方、たわみに抵抗する断面性能である断面二次モーメントは、梁せいの3乗に比例します。

そのため、スパンが長くなるほど、曲げやせん断よりも、たわみの条件が厳しくなることがあります。

木造住宅で長いスパンの梁を設計するときに、強度は足りていても、たわみで断面が決まることがあるのはこのためです。


■床と屋根で異なるたわみの目安

床のたわみについては、建築基準法ではスパンの1/250以下とされています。

ただし、構造計算を行う場合には、より安全側に見て、一般的に1/300以下に抑えることが多いです。

一方、屋根のたわみについては、建築基準法上の明確な規定はありません。

実務上は1/200以下を目安として設定する場合が多くあります。

床は人が歩いたり、家具を置いたりする部分なので、たわみが体感されやすい部位です。

そのため、屋根よりも厳しい基準で確認されることが多いと考えると分かりやすいです。


■クリープたわみとは?

木材は、長期間荷重を受け続けると、時間の経過とともに少しずつ変形が増えていきます。

これをクリープたわみといいます。

たとえば、最初は問題ないように見える梁でも、何十年も荷重を受け続けることで、たわみが徐々に大きくなる可能性があります。

一般的には、使用期間50年を想定して、最終的なたわみは初期たわみの約2倍になるものとして扱います。

そのため、横架材のたわみを確認するときは、完成直後の変形だけでなく、長期的な変形も考慮する必要があります。



■実際の梁には集中荷重もかかる

ここまでの説明では、梁に均等な荷重がかかる等分布荷重を前提に説明しました。

しかし、実際の木造住宅では、それだけではありません。

梁の上に上階の柱が載っている場合、その部分には局部的に大きな荷重がかかります。

このような荷重を集中荷重といいます。

つまり、横架材の断面を決めるときは、等分布荷重だけでなく、上階の柱や耐力壁から伝わる集中荷重も考慮する必要があります。

特に、梁の途中に柱が載る場合や、梁上に耐力壁がある場合は、曲げモーメント・せん断力・たわみが大きくなる可能性があります。


■横架材の断面は一番厳しい検定で決まる

横架材の断面寸法は、次の3つの検定を行ったうえで決定します。

・曲げモーメントに対する検定
・せん断力に対する検定
・たわみに対する検定

この3つのうち、最も大きな断面が必要になる条件に合わせて、最終的な梁せい・梁幅を決めます。

一般的には、スパンが長い梁では、曲げモーメントやたわみで断面が決まることが多くなります。

一方、スパンが短い梁では、せん断力で断面が決まることがあります。

特に梁端部に欠き込みや仕口加工がある場合は、せん断に対する有効断面が不足しないように注意が必要です。


<まとめ>横架材の断面検定は「強度」と「使いやすさ」の両方を見る

横架材の断面検定では、曲げ・せん断・たわみの3つを確認します。

曲げモーメントはスパンの2乗に比例し、せん断力はスパンに比例します。

さらに、たわみはスパンの4乗に比例するため、スパンが長くなるほど急激に厳しくなります。

そのため、木造住宅の梁設計では、長いスパンほどたわみの確認が重要になります。

また、梁端部ではせん断力が大きくなるため、仕口や欠き込みによって有効断面が不足していないかを確認することも大切です。

横架材は、建物にかかる鉛直荷重や局部荷重を柱へ伝える重要な構造部材です。

だからこそ、許容応力度計算では、

曲げに耐えられるか、せん断に耐えられるか、たわみすぎないか

を総合的に確認し、安全で使いやすい木造住宅を設計することが重要です。


次回は、梁断面について、お話します。

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