NSJ住宅性能研究所

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各部設計(木造住宅)シリーズ17

横架材接合部の検定

■横架材接合部の検定とは?木造住宅の安全性を支える重要ポイント

木造住宅の構造設計では、柱や耐力壁だけでなく、梁・桁などの横架材接合部も重要な検討対象になります。

地震や強風を受けたとき、建物には大きな水平力が加わります。

力は、床構面や小屋組を通じて、梁や桁などの横架材へ伝わります。

このとき、横架材の継手や端部には、部材同士を引き離そうとする引張力が生じることがあります。

そのため、横架材接合部には、発生する引張力に耐えられるだけの性能が求められます。

この確認作業が、横架材接合部の検定です。

■横架材接合部とは何か

横架材とは、木造住宅における梁・桁・胴差しなど、横方向に架け渡される構造部材のことです。

これらの部材は、床や屋根を支えるだけでなく、地震力や風圧力を耐力壁へ伝える役割も持っています。

横架材接合部とは、たとえば次のような部分を指します。

・梁と梁の継手
・桁と桁の継手
・梁と柱の取り合い
・胴差しと柱の接合部
・床構面の外周部にある横架材の接合部

一見すると、単に部材同士をつないでいる部分に見えるかもしれません。

しかし実際には、建物に加わる力を次の部材へ伝える、非常に重要なポイントです。


■なぜ横架材接合部の検定が必要なのか

横架材接合部の検定が必要な理由は、接合部が建物全体の力の流れをつなぐ部分だからです。

木造住宅では、地震や風による力を、耐力壁だけで受け止めるわけではありません。

まず床構面や小屋組が水平力を受け、その力を梁や桁などの横架材へ伝えます。

さらに横架材から柱や耐力壁へ力が流れていきます。

途中にある接合部の耐力が不足していると、せっかく耐力壁や床構面をしっかり設計していても、力をうまく伝えることができません。

つまり、横架材接合部が弱点になると、建物全体の耐震性能や耐風性能に影響する可能性があります。

そのため、横架材接合部には、発生する力に対して十分な耐力があるかを確認する必要があります。


■横架材接合部に生じる引張力とは

横架材接合部の検定で特に重要になるのが、引張力です。

引張力とは、部材同士を引き離そうとする力のことです。

たとえば、床構面を1本の梁のように考える(断面的に見る)と、地震や風によって床全体に曲げやせん断の力が生じます。

その結果、外周の桁や梁の継手、または柱との取り合い部分に、引張力が発生することがあります。

引張力に対して、接合部の耐力が不足していると、継手が開いたり、金物が変形したり、力の伝達が不十分になったりするおそれがあります。

そのため、まずは横架材にどの程度の引張力が生じるのかを計算することが重要です。


■検定の基本式は「引張力 ≦ 引張耐力」

横架材接合部の検定の基本は、とてもシンプルです。

横架材に生じる引張力 ≦ 接合部の引張耐力

この関係を満たしていれば、接合部は必要な耐力を有していると判断できます。

反対に、横架材に生じる引張力が、接合部の引張耐力を上回ってしまう場合は、その接合仕様では不十分です。

その場合は、より高い耐力を持つ金物を選定したり、接合方法を変更したりする必要があります。

つまり、横架材接合部の検定とは、

「接合部にかかる力」よりも「接合部が耐えられる力」が大きいかを確認する作業

といえます。


■一般的な横架材接合部の仕様

横架材接合部には、さまざまな仕様があります。

代表的なものとしては、次のような接合方法があります。

・腰掛け蟻掛け+羽子板ボルト
・腰掛け鎌継ぎ+短冊金物
・追掛け大栓継ぎ+羽子板ボルト
・大入れ蟻掛け+羽子板ボルト

これらは、木材同士の継手・仕口と、金物による補強を組み合わせた接合仕様です。

実務では、各接合部の引張耐力が表などで整理されているため、計算で求めた引張力に対して、どの仕様であれば安全側に納まるかを確認しながら選定します。


■金物を選ぶときの注意点

横架材接合部の検定では、必要な引張耐力を満たす金物や接合仕様を選べば、それで終わりというわけではありません。

実際の設計や施工では、次のような点にも注意が必要です。

●施工できる納まりか

接合部の周辺には、柱、梁、筋かい、耐力壁、床合板、他の接合金物などが集まります。

そのため、計算上は問題がなくても、現場で金物を取り付けにくい場合や、他の部材と干渉する場合があります。

設計段階で、実際に施工できる納まりかどうかを確認しておくことが大切です。

●他の金物と干渉しないか

柱頭柱脚金物、筋かい金物、横架材接合金物などが同じ位置に集中すると、ビスやボルトの位置が重なってしまうことがあります。

このような干渉があると、設計どおりの耐力を確保できないおそれがあります。

接合部の検討では、耐力だけでなく、金物同士の配置にも注意が必要です。

●木材の断面欠損に注意する

伝統的な継手や仕口では、木材を加工してかみ合わせるため、断面欠損が生じます。

断面欠損が大きくなると、部材そのものの耐力に影響する可能性があります。

そのため、継手・仕口の形状や金物の取り付け方法を含めて、総合的に判断する必要があります。


■横架材接合部の検定は「力の流れ」を途切れさせないための確認

木造住宅の構造設計では、力の流れを意識することがとても重要です。

地震力や風圧力は、床構面や小屋組から横架材へ伝わり、横架材から柱や耐力壁へ流れていきます。

この流れの途中で接合部が弱いと、建物全体として十分な性能を発揮できません。

つまり、横架材接合部の検定は、単なる金物選びではありません。

建物全体の力の流れを途切れさせず、安全に伝えるための確認作業です。

耐力壁や床構面をしっかり設計するだけでなく、その力を受け渡す接合部まで確認することで、木造住宅の安全性を高めることができます。


<まとめ>横架材接合部の検定は木造住宅の耐震性を高める重要な工程

横架材接合部の検定では、まず横架材に生じる引張力を求めます。

そして、その引張力よりも大きな引張耐力を持つ接合部を選定します。

基本となる考え方は、次の通りです。

横架材に生じる引張力 ≦ 接合部の引張耐力

この関係を満たすことで、接合部が地震時や強風時に生じる力に対して、十分な安全性を持っているかを確認できます。

横架材接合部は、木造住宅の力の流れを支える重要な部分です。

耐力壁や床構面だけでなく、横架材接合部まで丁寧に検討することが、安心できる木造住宅づくりにつながります。


次回は、床継ぎ手の引張力について、お話します。

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