NSJ住宅性能研究所

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各部設計(木造住宅)シリーズ14

桁継手の引張耐力

◎桁継ぎ手の引張耐力とは?木造住宅の床構面を梁として考えるポイント

■桁継ぎ手の引張耐力が重要になる理由

木造住宅では、地震や強風を受けたとき、床や屋根などの水平構面が重要な役割を果たします。

水平構面は、建物に加わった水平力を耐力壁へ伝えるための構造要素です。

その中でも、床構面の外周にある桁や梁の継ぎ手には、引張力が生じる場合があります。

この引張力に対して、継ぎ手が十分な耐力を持っているかを確認することが、桁継ぎ手の引張耐力の検討です。


■床構面は「1本の大きな梁」として考える

桁継ぎ手の引張力を理解するには、床構面を1本の大きな梁として考える(断面的に見る)と分かりやすくなります。

地震力や風圧力が建物に加わると、床構面には水平力が流れます。

この水平力によって、床構面には曲げモーメントが発生します。

梁に曲げモーメントが生じると、片側には引張力、反対側には圧縮力が発生します。

床構面も同じように、外周部の桁や梁が引張力と圧縮力を負担しながら、全体として曲げに抵抗しています。


■桁や梁の中間継ぎ手に引張力が生じる仕組み

床構面の外周にある桁や梁は、床全体の曲げに抵抗するための重要な部材です。

その途中に継ぎ手がある場合、その継ぎ手にも引張力が作用します。

特に、床構面に大きな曲げモーメントが生じる位置では、桁継ぎ手にかかる引張力も大きくなります。

そのため、単に部材をつなぐだけではなく、計算で求めた引張力に耐えられる接合方法を選ぶ必要があります。


■桁継ぎ手の引張力の求め方

桁継ぎ手に生じる引張力は、次の考え方で求めます。

桁継ぎ手の引張力
= 床構面に生じる曲げモーメント ÷ 床の奥行き長さ

ここでいう床の奥行き長さとは、曲げに抵抗する両側の桁や梁の距離です。

床構面に生じる曲げモーメントが大きいほど、継ぎ手に生じる引張力は大きくなります。

一方で、床の奥行きが大きいほど、同じ曲げモーメントでも、継ぎ手にかかる引張力は小さくなります。



■水平構面の力の流れを理解することが大切

床構面に生じる曲げモーメントは、主に次のような力の関係から考えます。

・床面に作用する地震力や風圧力
・上階の耐力壁線から伝わってくるせん断力
・当該階の耐力壁が抵抗する力

これらの力が床構面の中を流れることで、曲げモーメントが発生します。

その結果、外周部の桁や梁、そしてその継ぎ手に引張力が生じます。


■仕様規定だけでは見落としやすいポイント

横架材の継ぎ手は、建築基準法施行令の仕様規定では、細かく確認を求められない部分です。

そのため、壁量設計だけでは、桁継ぎ手にどの程度の引張力が生じているのかを把握しにくい場合があります。

一方、許容応力度計算では、床構面に生じる力を計算し、それに応じて継ぎ手の仕様を決めることができます。

これにより、水平構面としての床の性能をより確実に確認できます。


<まとめ>桁継ぎ手は床構面の力をつなぐ重要な接合部

桁継ぎ手の引張耐力は、床構面を安全に機能させるために重要な検討項目です。

床を1本の梁として考えると、水平力によって曲げモーメントが生じ、その曲げに抵抗するために外周部の桁や梁に引張力と圧縮力が発生することが分かります。

つまり、桁や梁の継ぎ手は、単なる部材同士のつなぎ目ではありません。

地震や強風時に、床構面全体の力の流れを成立させるための重要な構造部位です。

木造住宅の許容応力度計算では、こうした力の流れを確認し、桁継ぎ手にも必要な耐力を持たせることが大切です。


次回は、柱と横架材の引張力について、お話します。

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