NSJ住宅性能研究所

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各部設計(木造住宅)シリーズ12

水平構面の負担せん断力★

■水平構面の負担せん断力とは?木造住宅の床に流れる力の考え方

木造住宅の耐震性を考えるうえで、耐力壁の配置はとても重要です。

しかし、地震や強風に対して建物を安全にするためには、耐力壁だけでなく、床や屋根などの水平構面の検討も欠かせません。

水平構面は、上階の耐力壁にかかった水平力を、下階の耐力壁へ伝える役割を持っています。

そのため、水平構面にどれくらいのせん断力が流れるのかを確認することが、木造住宅の構造設計では重要になります。


■水平構面とは何か

水平構面とは、木造住宅における床や屋根のように、水平に広がる構造面のことです。

普段、床は人や家具を支える部材として考えられがちですが、地震や強風時には別の重要な役割を持ちます。

それが、水平力を耐力壁へ伝える役割です。

地震力や風圧力は、建物の壁や床を通じて耐力壁へ流れていきます。

このとき、床や屋根が十分な強さを持っていないと、力をうまく伝えることができません。


■水平構面の負担せん断力の求め方

水平構面の負担せん断力を求めるときは、床を連続梁のように見立てて考えます。

具体的には、次のように整理します。

・上下階の耐力壁線:集中荷重
・床面にかかる地震力・風圧力:分布荷重
・水平構面:力を伝える梁のような部材

このようにモデル化することで、床の中を流れるせん断力を計算できます。

水平構面は、単なる平面ではなく、耐力壁線と耐力壁線の間で力を受け渡す構造部材として考える必要があります。


■せん断力は耐力壁線の近くで大きくなる

水平構面に生じるせん断力は、床全体に均等に生じるわけではありません。

一般的には、耐力壁線の際で最も大きくなります。

これは、水平構面を流れてきた力が、最終的に耐力壁へ伝わるためです。

力の受け渡し部分では、せん断力が集中しやすくなります。

そのため、水平構面の検討では、床の中央部分だけではなく、耐力壁線の近くで発生する最大せん断力を確認することが重要です。


■地震力と風圧力の両方で水平構面を検定する

水平構面の検定では、地震力と風圧力の両方を確認します。

さらに、水平構面の両側に発生するせん断力を比較するため、基本的には次の4つの値を確認します。

・地震力による一方側のせん断力
・地震力による反対側のせん断力
・風圧力による一方側のせん断力
・風圧力による反対側のせん断力

この4つの中で最も大きい値を基準として、水平構面の仕様を決定します。

つまり、水平構面の許容せん断耐力が、最大せん断力を上回るように設計する必要があります。


■床仕様は最大せん断力に合わせて決める

一般的に、壁線間の水平構面の仕様は1種類にまとめられることが多くなります。

そのため、水平構面の検討では、発生するせん断力の中で最も大きな値を確認し、その力に耐えられる床仕様を選定します。

たとえば、構造用合板の厚さ、釘の種類、釘の間隔、床倍率などを検討し、必要な許容せん断耐力を確保します。

ポイントは、

床に流れる最大の力に対して、床仕様が十分な耐力を持っているか

を確認することです。



■1階外周部に耐力壁がない場合の注意点

水平構面の検討で特に注意したいのが、1階の最外壁線に有効な耐力壁がない場合です。

2階には耐力壁がある一方で、その下の1階外周部に有効な耐力壁がない場合、2階の耐力壁から伝わるせん断力を、床が別の位置にある1階耐力壁へ伝える必要があります。

このような場合、床の先端部分に大きなせん断力が作用する可能性があります。

そのため、通常の壁線間の検討とは別に、力の流れを適切にモデル化し、そのせん断力に対応できる水平構面の仕様を選ぶ必要があります。


■吹き抜けや大開口のある木造住宅では特に重要

水平構面の検討は、すべての木造住宅で重要ですが、特に次のような建物では注意が必要です。

・吹き抜けがある住宅
・大きな開口がある住宅
・上下階の耐力壁位置がずれている住宅
・1階に広いLDKや車庫がある住宅
・外周部に有効な耐力壁が少ない住宅

これらの建物では、水平構面に力が集中しやすく、床や屋根が力をうまく伝えられるかどうかが構造安全性に大きく関係します。


<まとめ>水平構面は力を伝える重要な構造要素

水平構面は、単に人や家具を支える床ではありません。

地震や強風時には、水平力を耐力壁へ伝える重要な構造要素として働きます。

水平構面の負担せん断力を検討する際のポイントは、次のとおりです。

・水平構面は上階の力を下階の耐力壁へ伝える
・床を連続梁のように見立ててせん断力を求める
・せん断力は耐力壁線の近くで大きくなりやすい
・地震力と風圧力の両方で検定する
・最大せん断力に対して十分な床仕様を選ぶ
・1階外周部に耐力壁がない場合は特に注意する

木造住宅の耐震性を高めるためには、耐力壁の量だけでなく、水平構面による力の伝達まで確認することが大切です。

特に、吹き抜けや大開口のある住宅では、床にどのような力が流れるのかを丁寧に検討することが、安心できる住まいづくりにつながります。


次回は、横架材接合部について、お話します。

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