NSJ住宅性能研究所

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各部設計(木造住宅)シリーズ7

接合部耐力★

■接合部耐力を小さくできない理由とは?耐力壁を増やしても金物を弱くできない考え方を解説

木造住宅の設計では、耐力壁を増やして建物全体の耐震性を高めることがあります。

すると、「壁が多いなら柱頭柱脚の接合金物は少し弱くしてもよいのでは?」と思う方もいるかもしれません。

しかし、結論から言うと、耐力壁を増やしても接合部の耐力を小さくすることは基本的にできません。

この記事では、その理由をわかりやすく解説します。


■建物全体の強さと、耐力壁1枚の強さは別に考える

まず理解しておきたいのは、建物全体の耐震性能と耐力壁1枚ごとの性能は同じではない、ということです。

たとえば、次の2つの建物を考えます。

・建物A : 耐力壁の量が必要最低限の建物
・建物B : 耐力壁に余裕がある建物

建物Bは耐力壁が多いため、建物全体としては地震時の変形を小さく抑えやすくなります。

一方、建物Aは余裕が少ないため、大地震時には終局状態に近づきやすくなります。

このように、建物全体で見れば、建物Bのほうが余裕のある建物といえます。



■なぜ耐力壁を増やしても接合金物を弱くできないのか

ここで大切なのが、柱頭柱脚の接合金物は、耐力壁よりも先に壊れてはいけないという考え方です。

耐力壁は、地震時に大きな力を受けると、あるところで降伏し、変形が大きくなっていきます。

接合部は、その耐力壁が本来持っている力を十分に発揮するまで、先に破壊しないようにしておく必要があります。

つまり、接合金物は、

・建物全体にどれだけ壁があるか
・建物全体の変形がどのくらい小さいか

ではなく、

・壁1枚が発揮する力に耐えられるか

を基準に選定する必要があります。

このため、建物全体の壁量に余裕があっても、接合部の性能を下げることはできないのです。


■接合部は「壁より先に壊れない」ことが重要

もし接合金物の耐力が不足していると、耐力壁が本来の性能を発揮する前に、接合部が先に壊れてしまうおそれがあります。

そうなると、耐力壁を増やしていたとしても、期待した耐震性能が得られません。

耐力壁が強くても、それを支える接合部が弱ければ、建物全体として安全とはいえないのです。

木造住宅の接合部設計では、

「耐力壁が先、接合部が後」ではなく、接合部が耐力壁に負けないこと

が基本になります。


■耐力壁を増やすことと、接合部を弱くすることは別問題

耐力壁を増やすことには大きな意味があります。

建物全体の変形を抑え、地震時の余裕を高めるうえで有効です。

ただし、それはあくまで建物全体の話です。

接合部の選定では、各耐力壁が発揮する力を確実に受け止めることが必要です。

そのため、壁量に余裕があるからといって、柱頭柱脚の金物を安易に弱くすることはできません。


<まとめ>接合部耐力を小さくできない理由

耐力壁を増やして建物全体の耐震性能に余裕ができても、接合部耐力を小さくできない理由は明確です。

それは、柱頭柱脚の接合部が、耐力壁より先に破壊してはいけないからです。

接合部は、建物全体の余裕ではなく、耐力壁1枚が出す力に対して十分な性能を持つことが求められます。

この考え方を押さえておくと、木造住宅の接合部設計の意味がぐっと理解しやすくなります。


次回は、大きな吹き抜けについて、お話します。

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