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各部設計(木造住宅)シリーズ5

柱頭柱脚接合部★

■柱頭柱脚接合部とは?N値計算の考え方と接合金物の選び方をわかりやすく解説

木造住宅の耐震性を考えるうえで重要なのが、柱頭柱脚接合部です。

柱頭柱脚接合部とは、柱の上端や下端を梁・土台・基礎につなぐ部分のことで、地震や強風によって柱が引き抜かれないようにする役割があります。

この記事では、柱頭柱脚接合部の基本、N値計算の考え方、接合金物の検定方法までをわかりやすく解説します。


■柱頭柱脚接合部とは何か

柱頭柱脚接合部とは、柱の上端である柱頭、下端である柱脚に設ける接合部のことです。

木造住宅では、水平力を受けたときに柱に引抜力が生じるため、この部分に金物を設けて安全性を確保します。

とくに耐力壁の端部にある柱では、大きな引抜力が発生しやすいため、適切な接合金物の選定が欠かせません。


■柱頭柱脚接合部の決め方は2種類ある

2000年建設省告示1460号では、柱頭柱脚接合部を決める方法として、次の2つが示されています。

●告示の表から接合金物を選ぶ方法

あらかじめ定められた表に従って、必要な金物を選ぶ方法です。

手順はわかりやすいですが、個々の建物条件を細かく反映しにくい面があります。

●N値計算で必要耐力を求める方法

柱にかかる引抜力を計算し、その値を上回る耐力を持つ金物を選ぶ方法です。

建物ごとの条件を踏まえて合理的に判断できるため、実務ではこちらが重要になります。



■柱の引抜力はどのように決まるのか

柱頭柱脚接合部の設計では、まず柱にどれだけの引抜力が生じるかを考えます。

考え方は、主に次の5つです。

1. 耐力壁が強いほど柱の引抜力は大きくなる

耐力壁が大きな水平力に抵抗するほど、壁端部の柱には大きな引抜力が生じます。

2. 両側に壁がある柱では壁の強さの差が影響する

柱の左右に耐力壁がある場合、引抜力は両側の壁の強さの差によって決まります。

左右が同程度なら差は小さく、片側だけ強ければ引抜力は大きくなります。

3. 床や梁の押さえ込みで引抜力は低減する

床や梁には柱を押さえる効果があります。

このため、出隅柱は0.8倍、その他の中柱は0.5倍として評価されます。

4. 鉛直荷重が引抜力を相殺する

屋根や床などの重さが柱に載ることで、柱が浮き上がろうとする力を打ち消します。

5. 上階の柱の引抜力は下階にも影響する

2階の柱に生じた引抜力は、1階の柱にも加算されます。
直下に柱がない場合は、両側の柱へ距離に応じて按分します。


■N値計算法とは何か

N値計算法とは、こうした柱の引抜力の考え方を、木造住宅で扱いやすく整理した計算法です。

具体的には、

・耐力壁の強さ
・左右の壁の強さの差
・床や梁の押さえ効果
・柱が支える鉛直荷重
・上階から伝わる引抜力

を踏まえて、柱頭柱脚接合部に必要な耐力を求めます。

つまりN値計算は、柱にどれだけ強い金物が必要かを決めるための実務的な方法といえます。


■式の中のLが意味するもの

N値計算の式に出てくるLは、鉛直荷重によって引抜力がどれだけ打ち消されるかを表す値です。

柱の上に重さが載っているほど、柱は浮き上がりにくくなるため、その効果を反映しています。

この考え方からも、一般に出隅柱の方がより厳しい条件になりやすいことがわかります。


■柱頭柱脚接合部の検定方法

柱頭柱脚接合部の検定で確認するのは、次の関係です。

計算で求めた引抜力 ≤ 接合金物の許容引張耐力

この条件を満たしていれば、その接合部は安全と判断できます。

逆に、金物の許容耐力が不足していれば、より強い金物に変更する必要があります。


■N値とkNの換算関係

接合金物の耐力を比較する際には、N値をkNに換算して考えることがあります。

一般的には、

N値1.0=5.3kN

として扱います。

この換算を使うことで、N値計算の結果と金物の許容引張耐力を対応させやすくなります。


■接合金物の種類と選定のポイント

柱頭柱脚接合部に使われる金物には、ホールダウン金物などさまざまな種類があります。

最近では、施工性の良さからビスタイプの金物も多く使われています。

ただし、接合金物は施工しやすさだけで選ぶのではなく、必要な引抜力に対して十分な許容引張耐力を持っているかで選定することが大切です。


<まとめ>柱頭柱脚接合部は木造住宅の安全性を左右する

柱頭柱脚接合部は、木造住宅で柱が引き抜かれないようにするための重要な部分です。

設計では、耐力壁の強さだけでなく、壁配置、床や梁の押さえ効果、鉛直荷重、上階からの影響まで考える必要があります。

こうした条件を整理して接合金物を選ぶのがN値計算です。

木造住宅の構造設計を理解するうえで、柱頭柱脚接合部とN値計算は基本でありながら非常に重要なテーマといえるでしょう。


次回は、柱頭柱脚接合部と許容応力度計算について、お話します。

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