NSJ住宅性能研究所

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各部設計(木造住宅)シリーズ4

筋かい接合部と許容応力度計算★

■筋かい接合部の許容応力度計算とは?右加力・左加力が必要な理由をわかりやすく解説

木造住宅の構造設計では、筋かい接合部の扱いがとても重要です。

特に許容応力度計算では、筋かいは圧縮と引張で挙動が異なるため、一般的な耐力壁以上に注意して確認する必要があります。

この記事では、筋かい接合部の許容応力度計算の考え方について、右加力・左加力の意味や、金物選定時の注意点も含めてわかりやすく解説します。


■木造住宅の許容応力度計算では筋かいをどう扱うのか

住宅を対象とした許容応力度計算プログラムでは、耐力壁の強さを入力して安全性を確認するのが一般的です。

本来は耐力を kN/m で扱うのが基本ですが、実務では壁倍率で入力するケースが多く、筋かいも同じように壁倍率で扱われることが少なくありません。

ただし、筋かいは通常の耐力壁とは異なり、力の向きによって働き方が変わるため、単純に一方向だけ見ればよいわけではありません。


■筋かい接合部は圧縮と引張で耐力が異なる

筋かいの特徴は、圧縮を受ける場合と引張を受ける場合で、耐力や壊れ方が異なることです。

地震や風によって建物に水平方向の力が加わると、筋かいは力の向きに応じて、

・押される
・引っ張られる

という2つの状態を取ります。

この違いがあるため、筋かい接合部では、どちらの状態でも安全かを確認しなければなりません。


■右加力・左加力の2方向計算が必要な理由

筋かいの入った住宅では、立面上で右方向に力が加わる場合と、左方向に力が加わる場合の両方を検討する必要があります。

この2つの計算を、実務では「右加力」「左加力」と呼びます。

つまり、筋かいのある建物は、1回の計算だけでは不十分で、力の向きを変えた2通りの検討が必要です。

そのうえで、接合金物は両方の結果を比較し、より厳しい条件に対応できるものを採用します。


■筋かい金物の性能は実大壁実験で確認されることが多い

近年では、筋かい金物の引張性能を確認する試験は、実際の建物に近い条件を再現した実大壁で行われることが一般的です。

これは、金物単体の強さだけではなく、壁全体としてどのように力を受け、どのように破壊するのかを確認するためです。

実大壁実験によって、より現実に近い性能評価が行われています。


■筋かい接合金物の認証制度にも注意が必要

筋かい金物には、主に次のような種類があります。

●Zマーク表示金物

日本住宅・木材技術センターによる表示制度で、強度だけでなく品質管理についても審査されます。

●性能評価機関の認定金物

性能評価機関が認定した金物で、強度の評価はされていても、品質管理までは審査対象外となる場合があります。

この違いを理解せずに金物を選ぶと、同じように見える製品でも、評価の前提が異なる可能性があります。



■許容耐力と基準耐力の違いを確認することが大切

筋かい金物の性能表示を見るときは、その数値が「許容耐力」なのか「基準耐力」なのかを確認する必要があります。

●許容耐力

破壊モードなども考慮し、安全側で整理された数値

●基準耐力
破壊モードなどの条件を十分に考慮せず示された数値である場合がある

数値だけを比較して金物を選ぶのではなく、その数値がどの意味で表示されているのかを理解することが重要です。


■筋かい接合部の設計で押さえたいポイント

筋かい接合部を適切に設計するためには、次の点を押さえる必要があります。

・筋かいは圧縮と引張で挙動が異なる
・右加力と左加力の2方向で計算する
・金物はより厳しい条件に対して安全なものを選ぶ
・認証制度の違いを確認する
・許容耐力と基準耐力を混同しない


<まとめ>筋かい接合部の許容応力度計算は「2方向の検討」が基本

筋かい接合部の許容応力度計算では、筋かいが力の向きによって圧縮にも引張にもなることから、右加力と左加力の両方を検討する必要があります。

また、接合金物を選ぶ際には、単に強度の数値を見るだけでなく、認証制度や性能表示の内容まで確認することが欠かせません。

木造住宅の構造安全性をしっかり確保するためには、筋かい接合部を「壁倍率の入力項目」としてだけ見るのではなく、その裏にある力の流れや評価の前提まで理解しておくことが大切です。


次回は、柱頭柱脚接合部について、お話します。

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