NSJ住宅性能研究所

MENU 検索

鉛直構面(木造住宅)シリーズ22

水平力の算定と検定★

■木造住宅の負担水平力とは?地震力・風圧力の算定と検定をわかりやすく解説

木造住宅の許容応力度計算では、建物の各通りがどれだけの水平力を負担するかを計算し、その力に耐えられるかを確認します。

この考え方は、耐震設計を理解するうえでとても重要です。

この記事では、負担する水平力の算定と検定の考え方について、地震力と風圧力の違いも含めて、わかりやすく解説します。


■負担する水平力の算定とは?

建物には、地震や風によって横から力が加わります。

このような横方向の力を「水平力」といいます。

許容応力度計算では、建物全体に作用する水平力を、各「通り(鉛直構面)」がどのくらいずつ受け持つのかを求めます。

そして、その通りが実際に持っている耐力と比較し、安全かどうかを確認します。

これが「検定」です。


■検定では何を確認するのか

検定で確認する内容はシンプルです。

通りが負担する水平力に対して、十分な耐力があるかどうかを確かめます。

必要な力よりも、通りが持っている耐力のほうが大きければ安全です。

逆に、負担する力のほうが大きければ、その通りは強さが不足していることになります。


■地震力の算定ではねじれを考慮する

地震時には、建物全体に横向きの力が作用します。

ただし、建物の耐力壁の配置が偏っていると、単純に横へ変形するだけでなく、建物全体が回転するように変形することがあります。

これが「ねじれ」です。

このため、地震力の算定では、各通りの負担地震力に対して、ねじれ補正係数を掛けて割増しを行うことがあります。


■ねじれを考慮する理由

耐力壁がバランスよく配置されていれば、建物は比較的素直に変形します。

しかし、壁が片側に偏っていると、力のかかり方と抵抗の位置にずれが生じ、建物がねじれやすくなります。

その結果、一部の通りや壁に力が集中しやすくなるため、安全側に見て補正を行うのです。



■風圧力の算定では通常ねじれ補正をしない

一方、風圧力については、通常の許容応力度計算では地震時のようなねじれ補正を掛けないのが一般的です。

これは木造だけでなく、RC造やS造を含めた一般的な設計法でも同様です。

風圧力に対しては、基本的に各通りが負担する力をそのまま求めて検定します。


■ただし風でもねじれが起こる場合がある

風圧力でねじれ補正をしないからといって、風でねじれが起こらないわけではありません。

たとえば、L字型平面の建物では、風は建物の立面全体に作用しますが、耐力壁や構面の配置が偏っていると、抵抗のバランスが悪くなり、建物がねじれることがあります。


■木造住宅は風の影響が大きくなることもある

木造住宅は、RC造などに比べて建物が軽いのが特徴です。

そのため、場合によっては地震力より風圧力のほうが設計上支配的になることもあります。

特に、次のような建物では注意が必要です。

・L字型やコの字型など平面形状が複雑な建物
・立面形状に凹凸が多い建物
・耐力壁の配置が偏っている建物
・風を受ける面が大きい建物

このような場合は、通常の計算ルールだけでなく、実際の力の流れやねじれの起こりやすさも意識して検討することが大切です。


■木造住宅の水平力検定で押さえたいポイント

木造住宅の負担水平力の検定では、次の点を押さえておくと理解しやすくなります。

・各通りが受け持つ水平力を求める
・その力に対して十分な耐力があるか確認する
・地震力ではねじれ補正を考慮する
・風圧力では通常ねじれ補正をしない
・ただし建物形状によっては風のねじれも意識する


<まとめ>

木造住宅の許容応力度計算では、各通りが負担する地震力・風圧力を算定し、それに対して安全かどうかを検定します。

地震力では、耐力壁の偏りによって生じるねじれの影響を考慮して補正を行うのが特徴です。

一方、風圧力では通常そのような補正はしませんが、L字型平面などでは風によるねじれが生じる可能性があります。

そのため、単に式を当てはめるだけでなく、建物の平面形状・立面形状・耐力壁の配置バランスまで含めて考えることが、実務ではとても重要です。


次回は、接合部について、お話します。

▲このページのTOPへ