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■木造住宅の偏心率とは?求め方・考え方・ねじれとの関係をわかりやすく解説 木造住宅の耐震設計では、壁量を満たしているだけでは十分とはいえません。 大切なのは、耐力壁がどこに配置されているかです。 その配置バランスを確認するうえで重要になるのが「偏心率」です。 偏心率は、建物が地震時にどれくらいねじれやすいかを表す指標で、許容応力度計算でもよく登場します。 この記事では、偏心率の基本から求め方、ねじれ補正係数との関係まで、できるだけわかりやすく解説します。
■偏心率とは?木造住宅で重要になる理由 偏心率とは、建物の重心と剛心のズレの大きさをもとに、建物のねじれやすさを表した数値です。 重心は、地震力などの外力が作用するときの中心です。 一方の剛心は、耐力壁などの配置によって決まる、建物の硬さの中心です。 この2つが近ければ、建物は比較的まっすぐ揺れます。 しかし、重心と剛心が離れていると、横に動くだけでなく、回転するような揺れ方が加わります。 これが「ねじれ」です。 木造住宅では、このねじれが一部の壁や接合部に負担を集中させるため、偏心率の確認がとても重要になります。 ■偏心率の求め方 偏心率は、偏心距離を弾力変形で割って求めます。 つまり、単純に「ズレている距離」だけを見るのではなく、建物がどれくらい変形しやすいかも合わせて評価する仕組みです。 たとえば、X方向の偏心率は、X方向に地震力が加わったときに、Y方向にどれだけ偏心しているかを、X方向の弾力変形で割って求めます。 Y方向の偏心率も同じ考え方で求めます。 この考え方によって、建物が実際にどれだけねじれの影響を受けやすいかを、より実態に近い形で評価できます。 ■X方向の偏心率なのにY方向の壁配置も影響する理由 ここで少し混乱しやすいのが、「X方向の偏心率なのに、なぜY方向の壁配置も関係するのか」という点です。 X方向の偏心率は、主にX方向に抵抗する壁に関係するものの、Y方向の壁配置も無関係ではありません。 その理由は、建物が平面的に一体となって揺れるからです。 片方の方向だけ偏っていても不利ですが、もう片方の方向にも偏りがあると、建物全体としてさらにねじれやすくなります。 つまり、偏心率は一方向だけの問題ではなく、建物全体のバランスの問題として捉える必要があります。
■偏心率が大きいとどうなる?ねじれ補正係数との関係 偏心率が大きくなると、建物はそれだけねじれやすくなります。 そして設計では、その影響をねじれ補正係数として割増して考えます。 注意したいのは、偏心率が大きくなると、ねじれ補正係数も単純に同じ割合で増えるわけではないことです。 実際には、偏心率が大きくなるほど、補正係数はそれ以上に大きくなる傾向があります。 そのため、偏心率の悪化は、想像以上に設計条件を厳しくしてしまうことがあります。 外周部の壁や接合部にかかる負担も大きくなりやすいため、計画段階から注意が必要です。 ■偏心率0.15・0.3のときの目安 建物外周部のねじれ補正係数の目安として、 ・偏心率が 0.15 の場合:補正係数は 1.1〜1.2程度 ・偏心率が 0.3 の場合:補正係数は 1.3〜1.4程度 この数値からも、偏心率が大きくなるほど、必要な割増しが無視できないレベルになることがわかります。 偏心率0.3になると、外周部ではかなり不利になると考えておいたほうがよいでしょう。 ■偏心率を悪化させないために大切なこと 偏心率は、あとから計算で確認するだけでなく、最初の計画段階で悪化させないことがとても重要です。 そのためには、単に耐力壁の量を確保するだけでなく、できるだけ偏りなく配置することが大切です。 特定の一角に壁が集中したり、反対側に壁が少なすぎたりすると、重心と剛心がズレやすくなり、偏心率が悪化します。 木造住宅の耐震設計では、「壁量を満たす」ことに加えて、「壁をバランスよく配置する」ことが、ねじれに強い建物をつくる基本になります。 <まとめ>偏心率は建物全体のバランスを見る指標 偏心率は、重心と剛心のズレを、建物の変形しやすさも含めて評価する指標です。 値が大きいほど建物はねじれやすくなり、ねじれ補正係数も大きくなります。 また、偏心率は一方向だけで決まるものではなく、もう一方の方向の壁配置も影響します。 そのため、建物全体を見ながらバランスよく計画することが欠かせません。 木造住宅の構造設計では、壁量だけを見るのではなく、「どこに壁があるか」「全体として偏っていないか」という視点を持つことが、耐震性の高い建物づくりにつながります。 次回は、通りごとの検定について、お話します。
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