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■木造住宅のねじれを考慮した割増係数とは?許容応力度計算での考え方をわかりやすく解説 木造住宅の耐震設計では、壁量を満たしているかだけでなく、耐力壁の配置バランスも重要です。 壁の配置が偏っていると、地震時に建物が横に動くだけでなく、ねじれが生じることがあります。 ねじれを適切に設計へ反映するために用いられるのが、ねじれを考慮した割増係数です。 この記事では、木造住宅の許容応力度計算における、ねじれを考慮した割増係数の考え方について、できるだけわかりやすく解説します。
■木造住宅で「ねじれ」が問題になる理由 建物に地震力が加わると、基本的には横方向に変形します。 しかし、耐力壁が建物の片側に偏っていると、力のかかり方に偏りが生じ、建物全体が回転するように変形することがあります。 これが「ねじれ」です。 ねじれが生じると、一部の壁や接合部に力が集中しやすくなります。 そのため、単に壁量が足りているだけでは不十分で、壁の配置バランスまで含めた検討が必要になります。 ■ねじれを考慮した割増係数とは? ねじれを考慮した割増係数とは、建物がねじれることで、特定の耐力壁に通常より大きな力がかかることを見込んで、計算上の力を割り増して評価するための係数です。 言い換えると、ねじれの影響を受けやすい壁に対して、少し厳しめの条件で安全性を確認するための仕組みです。 ■グレー本で示されている3つの考え方 グレー本では、ねじれを考慮した割増係数の求め方として、大きく2つ、細かく見ると3つの方法が示されています。 1. 四分割法を応用する方法 1つ目は、四分割法を応用する方法です。 壁配置のバランスを簡易的に確認する考え方をベースにした方法です。 2. 偏心率を用いる方法 2つ目は、偏心率を用いる方法です。 RC造や鉄骨造でも使われる、より一般的な考え方です。 さらに、この偏心率を用いる方法の中には、次の2通りがあります。 2-1. ねじれ補正係数を用いる方法 偏心率の計算に使う各種数値をもとに、ねじれ補正係数を求めて補正する方法です。 2-2. 偏心率から直接求める方法 もう1つは、ねじれ補正係数を別途求めず、偏心率から直接割増係数を算出する方法です。 ■許容応力度計算では偏心率を用いる方法が基本 木造住宅の許容応力度計算では、基本的に偏心率を用いる方法を標準と考えるのが自然です。 理由は、四分割法があくまで簡易的な確認方法だからです。 許容応力度計算は、建物の安全性をより詳細に確認するための計算方法なので、RC造やS造と同様に、より理論的な方法である偏心率による評価を採用する方が合理的です。 実務でも、構造計算ソフトでは、偏心率をベースにしつつ、さらにねじれ補正係数を用いる方法がよく採用されています。
■ねじれ補正係数とは何か ねじれ補正係数は、建物のねじれによって、ある壁にどの程度不利な力がかかるかを反映するための係数です。 建物がねじれると、すべての壁が均等に力を負担するわけではありません。 位置によっては、ある壁に大きな力が集中することがあります。 そこで、その不利な影響を計算に反映するために、ねじれ補正係数を使って、壁にかかる力を調整します。 ■X方向のねじれ補正係数 αx の意味 たとえば、X方向のねじれ補正係数 αxとは、X方向の力に抵抗する壁に対して用いる補正係数のことです。 つまり、X方向の地震力が加わったときに、その方向で抵抗する壁が、ねじれの影響によってどれだけ不利になるかを表しています。 同様に、Y方向の力に対しては、Y方向の壁に対する補正係数を用います。 方向ごとに、抵抗する壁に応じた補正を行うのがポイントです。 ■木造住宅の耐震設計で大切なのは「壁量」だけではない 木造住宅の耐震設計では、どうしても「必要壁量を満たしているか」に目が向きがちです。 しかし実際には、それと同じくらい、あるいはそれ以上に、壁をどこに配置しているかが重要です。 壁量が十分でも、配置バランスが悪ければ、地震時に建物がねじれ、一部に負担が集中してしまいます。 そのため、許容応力度計算では、壁量だけでなく、偏心率やねじれの影響まで含めて検討する必要があります。 ■ねじれを考慮した割増係数の考え方を理解するメリット ねじれを考慮した割増係数の考え方を理解すると、なぜ壁量だけでは不十分なのか、そしてなぜ配置バランスが重要なのかが見えてきます。 また、許容応力度計算が、単なる壁量チェックではなく、建物の挙動をより実態に近く捉えようとする設計手法であることも理解しやすくなります。 <まとめ>木造住宅のねじれは許容応力度計算でしっかり検討する 木造住宅では、耐力壁の配置が偏ると、地震時に建物がねじれることがあります。 この影響によって一部の壁に力が集中するため、設計ではねじれを考慮した割増係数を用いて補正を行います。 グレー本では複数の方法が示されていますが、許容応力度計算では、偏心率を用いる方法を基本とし、実務ではねじれ補正係数を用いる方法がよく使われます。 耐震設計では、壁量だけでなく、壁配置のバランスまで含めて検討することが大切です。 ねじれの検討は、その重要性をよく表している項目の1つといえるでしょう。 次回は、偏心率について、お話します。
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