NSJ住宅性能研究所

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鉛直構面(木造住宅)シリーズ16

偏心率

■木造住宅の偏心率は0.3以下が目安

木造住宅では、地震に強い建物にするために、壁の量だけでなく、壁の配置バランスもとても重要です。

いくら耐力壁の量が足りていても、片側に偏って配置されていると、地震のときに建物がねじれるように揺れてしまうことがあります。

「ねじれやすさ」を確認するための指標が、「偏心率」です。

偏心率とは、簡単にいうと、建物の重さの中心と壁の強さの中心がどれくらいずれているかを表した数値です。

このずれが大きいほど、地震時に建物はまっすぐ揺れず、回転するように変形しやすくなります。


木造住宅の許容応力度計算では、この偏心率を計算し、0.3以下に収めることが基本的な目安とされています。

0.3という数字は、過去の実物大振動台実験などから、偏心率がこの程度までであれば、ねじれによる変形の増加が比較的小さく抑えられると考えられているためです。

一方、RC造や鉄骨造では、偏心率の目安は0.15程度とされることが一般的です。

それに比べると、木造の0.3はやや大きめですが、これは木造住宅では間取りや開口部の制約が多く、RC造などと同じ厳しさでバランスを取るのが現実的に難しいことも背景にあるとされています。

木造住宅では、偏心率の計算の代わりに、四分割法で壁配置のバランスを確認することもあります。

四分割法は、平面を4つに分けて壁の配置を見ていく方法で、比較的シンプルにチェックできるのが特徴です。

ただし、偏心率と四分割法の結果は、必ずしもぴったり一致するわけではありません。

壁率比を縦軸、偏心率を横軸とするグラフを見てみると、四分割法の壁率比と偏心率にはある程度の関係が見られる一方で、点のばらつきも大きく、四分割法があくまで簡易的な判定方法であることが分かります。

それでも、グラフ全体を見ると、偏心率で問題がある建物を、四分割法だけが誤って安全と判断してしまう例はそれほど多くないことも読み取れます。

つまり、四分割法は精密な評価方法ではないものの、壁配置のバランスをざっくり確認する方法としては、一定の役割を果たしているといえます。

大切なのは、壁量が足りているかだけを見るのではなく、その壁が建物の中でバランスよく配置されているかまで考えることです。

木造住宅の耐震性は、「量」と「配置」の両方がそろってはじめて、しっかり確保されます。

地震に強い木造住宅を考えるうえでは、偏心率や四分割法といった考え方を通して、ねじれにくい計画になっているかを確認することがとても重要です。



次回は、ねじれに対する設計について、お話します。

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