NSJ住宅性能研究所

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鉛直構面(木造住宅)シリーズ8

準耐力壁★

■準耐力壁とは?条件を満たせば耐力壁同等として扱える壁

木造住宅の設計では、地震や風に耐える壁として「耐力壁」が重要な役割を担います。

一方で、見た目は似ていても、建築基準法上は耐力壁として扱われない壁もあります。

そうした壁のうち、一定の条件を満たした場合に限って、耐力壁と同等に扱えるものが「準耐力壁」です。

たとえば、面材が上の横架材まで届いていない壁や、釘の打ち方が四周打ちではなく「川の字打ち」になっている壁などがこれにあたります。

これらは建築基準法では、基本的に壁倍率が定められていない「雑壁」です。

つまり、そのままでは構造上の強さを見込む壁とはされていません。

住宅性能表示制度では、そのような雑壁の中にも、使い方によっては確実に耐力を期待できるものがあると考えられています。

条件を満たしたものについては「耐力壁同等」として評価できる仕組みが設けられています。


■準耐力壁はどんなときに評価できるのか

準耐力壁は、どんな場合でも自由に構造計算に入れられるわけではありません。

きちんと強さを発揮させるために、いくつかの条件があります。

・まず大切なのは、その壁の両側に耐力壁または準耐力壁があることです。

壁が単独で存在していても、安定して力を負担できないためです。

・次に、釘の種類や釘を打つ間隔が、耐力壁と同等の仕様になっていることも必要です。

釘の種類やピッチが違うだけで、壁の性能は大きく変わってしまいます。

・さらに、原則として大壁であることも条件の一つです。

柱が見える真壁ではなく、面材を連続して施工しやすい大壁の方が、安定した性能を確保しやすいためです。

・また、準耐力壁として評価する場合には、面材の張り高さが横架材の内法寸法の80%以上必要です。

高さが足りない壁は、見た目に壁があっても、十分な耐力を期待できないためです。


垂れ壁や腰壁を準耐力壁として扱う場合にも、寸法に関する細かな条件があります。

つまり準耐力壁は、ただ「壁があるから強い」と考えるのではなく、配置や寸法、施工方法まで含めて条件を満たして初めて評価できる壁なのです。


■なぜ実務では使わないことも多いのか

準耐力壁は、うまく使えば壁量計算に反映できる便利な考え方です。

ただし、その分だけ条件確認が細かくなり、設計やチェックの手間も増えます。

そのため実務では、準耐力壁をあえて計算に入れず、正式な耐力壁だけで安全側に設計する住宅会社も少なくありません。

準耐力壁は、必ず考慮しなければならないものではなく、あくまで条件を満たせば使ってよいものという位置づけです。


■壁倍率はどのように決まるのか

準耐力壁の壁倍率は、一般の耐力壁のように最初から固定で与えられているとは限りません。

材料の種類や張り高さなどに応じて算定されます。

つまり、準耐力壁は、なんとなく強そうだから評価するのではなく、ルールに従って壁倍率を求め、そのうえで構造的に扱うものです。

許容応力度計算で使う場合は、求めた壁倍率を耐力に換算して用います。


■最新の制度を踏まえて理解しておきたいこと

近年は法改正や基準の見直しにより、壁量計算や構造関係の考え方も少しずつ整理されています。

その中で、準耐力壁や腰壁・垂れ壁についても、一定の条件のもとで評価する考え方がより明確になっています。

ただし注意したいのは、壁量としては見込めても、建物のバランス確認や接合部計算などでは、常に同じように扱えるとは限らないという点です。

そのため、準耐力壁を採用するときは、壁量に入れられるかだけでなく、どの計算でどこまで反映できるのかを整理しておくことが大切です。


<まとめ>

準耐力壁とは、建築基準法上はそのままでは耐力壁にならない壁のうち、一定の条件を満たすことで、住宅性能表示制度などで耐力壁同等として扱える壁のことです。

便利な考え方ではありますが、自由に使えるわけではありません。

配置、釘の仕様、壁の高さ、寸法条件などをきちんと満たして、はじめて評価できます。

言い換えると、準耐力壁は、本来は雑壁だけれど、条件を守って使えば構造上の強さを見込める壁というイメージです。

木造住宅の構造を正しく理解するうえでは、「耐力壁」と「準耐力壁」は同じではない、という点を押さえておくと分かりやすいでしょう。



次回は、平面的な傾きについて、お話します。

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