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■許容応力度計算で使える耐力壁とは? 木造住宅の許容応力度計算では、建物のそれぞれの「通り(鉛直構面)」ごとに、地震や風にどれだけ耐えられるかを確認していきます。 そのときに見るのが、通りに配置された耐力壁の強さと剛さです。 考え方はシンプルで、構面の中にある耐力壁を1つずつ見て、「許容せん断耐力」や「剛性」を合計し、通り全体の性能を求めます。 では、許容応力度計算では、どのような耐力壁が使えるのでしょうか。 大きく分けると、次の4種類があります。
1.法令や告示に示された耐力壁 まず基本になるのが、建築基準法施行令や告示に示されている耐力壁、そして大臣認定を取得している耐力壁です。 いわゆる「壁倍率」が与えられている壁がこれに当たります。 たとえば、筋かいや面材耐力壁などが代表例です。 これらは、壁倍率に1.96kN/mを掛けた値を、許容せん断耐力として使うことができます。 ただし、ここで注意したいのが筋かいです。 筋かいは、力がかかる向きによって働き方が変わります。 右向きに水平力が加わる場合と、左向きに加わる場合では、発揮する耐力が同じとは限りません。 そのため、筋かいを使った建物の構造計算では、右加力と左加力の2パターンで検討を行うのが基本です。 2.性能表示制度で認められている「準耐力壁等」 次に使えるのが、住宅性能表示制度で認められている壁です。 品確法の評価方法基準で示されているもので、一般に準耐力壁等と呼ばれます。 この「準耐力壁等」には、 ・準耐力壁 ・垂れ壁・腰壁 が含まれます。 建築基準法そのものではないものの、国土交通省の基準の中で性能の考え方が整理されているため、性能に根拠がある壁として、許容応力度計算に用いることができます。 基本的には壁倍率 × 1.96kN/mで許容せん断耐力に換算して扱います。 3.グレー本の詳細計算法で設計した面材耐力壁 3つ目は、『木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2017年版)』 いわゆるグレー本に基づいて設計した面材耐力壁です。 この方法の特徴は、壁全体をざっくり評価するのではなく、釘1本1本の働きまで考えて耐力を求める点にあります。 面材耐力壁は、面材そのものだけで強さが決まるわけではありません。 実際には、面材を留めている釘が変形しながら抵抗し、その積み重ねによって壁全体の耐力が決まります。 つまり、釘の抵抗の積み重ねで、壁の強さを求めるという考え方です。 より細かく合理的に耐力を評価できる方法ですが、この詳細計算法で扱うのは主に面材耐力壁であり、筋かい壁などは含まれません。 4.実験などで性能が適切に確認された耐力壁 4つ目は、法令やグレー本に直接載っていない壁でも、構造実験などによって性能がきちんと確認されているものです。 たとえば、新しい工法や独自の耐力壁であっても、実験結果などに基づいて許容せん断耐力が適切に設定されていれば、理論上は許容応力度計算に使うことができます。 ただし、この扱いは少し慎重さが必要です。 なぜなら、その耐力設定が本当に妥当か、を一般の設計者が判断するのは簡単ではなく、審査する側にとっても判断が難しいからです。 そのため実務では、こうした壁を使う場合、性能評価機関で評価を受けていることが重要になるケースが多いです。 ■許容応力度計算のポイントは根拠のある壁は使えるということ ここまで見てきたように、許容応力度計算で使える耐力壁の考え方を一言でまとめると、 「強さの根拠がしっかりしているものは使える」 ということです。 これは、壁量計算との大きな違いでもあります。 壁量計算では、基本的に法律上、壁倍率が与えられている壁しか使えません。 一方、許容応力度計算では、法令、性能表示、設計指針、実験結果などをもとに、性能をきちんと説明できる壁であれば使える可能性があるのです。 つまり、許容応力度計算のほうが、より合理的で柔軟な考え方をしているといえます。 <まとめ> 許容応力度計算で使える耐力壁は、主に次の4種類です。 ・法令や告示に示された耐力壁、大臣認定の耐力壁 ・性能表示制度で認められた準耐力壁や垂れ壁・腰壁 ・グレー本の詳細計算法で求めた面材耐力壁 ・実験などで性能が適切に確認された耐力壁 大切なのは、 「この壁はどのくらいの強さを持ち、なぜその数値でよいと言えるのか」 を明確に説明できることです。 許容応力度計算は、単に壁倍率を見るだけではなく、耐力の根拠そのものを重視する設計手法だといえます。
次回は、剛性と耐力について、お話します。
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