NSJ住宅性能研究所

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施行令46条(木造住宅)シリーズ21

筋かいと面材

■筋かいと面材の耐力壁、本当に同じように評価してよいのか?

木造住宅の耐力壁として、よく使われるのが筋かいと面材(構造用合板など)です。

どちらも地震や風に抵抗する大切な要素ですが、実は、同じような(性質の)強さとは言い切れません。

一般的な筋かい(45×90mm以上)は、壁量計算では壁倍率2倍として扱われています。

そのため、設計上は一定の強さを持つ壁として広く使われています。


ところが、実験結果を見ると、筋かいは計算上の評価ほど性能が出ていないのではないかと指摘されることがあります。

その大きな理由の一つが、靭性(じんせい)の違いです。

靭性とは、簡単にいえば、壊れるまでどれだけ粘れるかという性質のことです。

建物の安全性を考えるうえでは、ただ強いだけでなく、壊れる直前まで急激に性能が落ちないことも重要になります。


2000年には、耐力壁の評価方法にこの靭性の考え方が取り入れられました。

しかし、筋かいの壁倍率は、それ以前に決められた数値がそのまま使われています。

このため、現在の評価方法で見直すと、筋かいの壁倍率はやや高く評価されすぎている可能性があるともいわれています。


■荷重-変形の関係をグラフで見ると

筋かいと構造用合板の違いは、荷重と変形の関係を表すグラフを見るとよく分かります。

変形が小さいうちは、どちらも壁倍率に応じた強さを発揮します。

ところが、最大の強さを過ぎた後の挙動には、はっきりした差があります。

構造用合板の耐力壁は、最大耐力に達した後も、比較的ゆるやかに性能が下がっていきます。

一方、筋かいの耐力壁は、あるところを超えると急激に耐力が低下しやすいのです。

これは、筋かいが圧縮力によって座屈しやすいためです。

筋かいが途中で折れ曲がるような形になり、一気に力を負担できなくなってしまうのです。

このように、筋かいは強さが出ても、粘り強さの面では不利になりやすいという特徴があります。


■注意点

特に注意したいのが、筋かいの節です。

筋かいの圧縮座屈は、節のある部分で起こりやすいことが知られています。

とくに中央付近に大きな節がある場合は、性能に影響するおそれがあるため、材料の状態をよく確認することが大切です。


では、面材耐力壁なら安心かというと、実はそう単純でもありません。

構造用合板の壁倍率は、もともとラワン合板が主流だった時代に決められたものです。

ところが、近年多く使われている針葉樹合板では、同じような性能が出ないという報告もあります。

特にスギ合板では、その傾向が指摘されています。

原因の一つが、パンチングと呼ばれる壊れ方です。

これは、釘が引き抜けるのではなく、釘の頭が合板にめり込み、そのまま板を突き破ってしまう現象です。

このような破壊が起こると、期待した耐力が十分に発揮されないことがあります。


<まとめ>

このように見ていくと、筋かいにも面材にも、それぞれに長所と弱点があります。

大切なのは、壁倍率という数字だけを見るのではなく、実際にどのように壊れるのか、どれだけ粘り強いのかまで含めて考えることです。

耐力壁の性能は、単純に、強ければよいというものではありません。

地震時に急激に壊れないこと、そして安定して力を負担し続けられることも、同じくらい重要なのです。



次回は、熊本地震と木造住宅について、お話します。

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