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木造住宅で、地震や風のような横からの力に抵抗する壁を「耐力壁」といいます。 代表的なものは、筋かいを入れた壁と、構造用合板などを張った壁です。 昔の木造住宅では、土壁も重要な耐力壁のひとつでした。 この耐力壁の強さは、壁量計算では「壁倍率」で表されます。 一方、許容応力度計算では「許容せん断耐力」という考え方で評価し、単位は kN/m を使います。 では、良い耐力壁、つまり「理想的な耐力壁」とは、どのような壁なのでしょうか。
耐力壁の性能は、単純に、強ければよいというものではありません。 たとえば、同じ最大耐力を持つ壁でも、変形しにくい剛い(かたい)壁もあれば、ある程度変形しながら耐える柔らかい(やわらかい)壁もあります。 また、同じくらいの強さがあっても、すぐに壊れてしまう壁と、大きく変形しても粘り強く耐える壁があります。 この「粘り強さ」のことを、構造では靭性(じんせい)と呼びます。 つまり、耐力壁を考えるときには、 ・最初の段階でしっかりしているか ・どれだけ大きな力に耐えられるか ・壊れるまでどれだけ粘れるか といった、いくつかの性質をあわせて見る必要があります。 理想をいえば、 ・初期剛性が高く ・最大強度が大きく ・しかも靭性も高い 壁が望ましい耐力壁です。 ただし、現実には、これらすべてを完璧に兼ね備えた万能な壁はほとんどありません。 その中で、現在の木造住宅では、構造用面材を使った耐力壁で、最終的にくぎが少しずつ抜けるような壊れ方をするものが、比較的バランスの良い耐力壁だと考えられています。 構造用面材の耐力壁は、筋かいの壁に比べて、大きく変形したときにも粘り強さを発揮しやすいものが多いからです。 そのため、大地震のときには、筋かい壁よりも、構造用合板などの面材耐力壁のほうが倒壊のリスクを抑えやすいといえるかもしれません(ただし、面材耐力壁は施工精度にバラツキが出る可能性があることは考慮に入れる必要があります) 耐力壁は、ただ強いだけでは十分ではありません。 強さ、硬さ、そして粘り強さのバランスが大切です。 理想的な耐力壁を考えることは、木造住宅をより安全にするための大切な視点といえるでしょう。
次回は、筋かいと面材について、お話します。
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