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建物にかかる地震の力は、基本的に 「重い建物ほど大きくなる」 と考えると理解しやすいです。 地震力は、各階ごとに計算します。 考え方としては、 地震力 = 質量(重さ) × 加速度 です。 これは物理で学ぶ運動の考え方と同じです(ニュートン力学 F=ma) ■各階の地震力は「重さ × 係数」で決まる 各階の地震力は、各階の重さ(質量)に、地震層せん断力係数(Ci) という係数を掛けて求めます。 つまり、ざっくり言うと、 ・建物が重いほど地震力は大きい ・さらに、地域や建物の揺れやすさ、階の位置(上階・下階)によって調整される という仕組みです。
■Ciの中で特に重要なのは「Co(標準せん断力係数)」 Ciは、いくつかの係数を掛け合わせて決まります。 その中でも特に重要なのが 標準せん断力係数 Co です。 許容応力度計算では、 Co = 0.2以上(=建物重量の約20%) となっています。 つまり、許容応力度計算では、建物に対して、「建物の重さの約20%に相当する水平力がかかる」とみなして設計する、というイメージです。 ■大地震を想定する計算では Co = 1.0(参考) 保有水平耐力計算では Co を 1.0 とします(許容応力度計算とは別の考え方) これは、かなり直感的に言えば、 建物の自重と同じくらいの水平力を受ける想定 ということです。 「建物を横に倒すような力がかかったときに耐えられるか?」 とイメージすると分かりやすいです。 ■地震地域係数 Z:地域によって地震の見込みを調整する係数 地震地域係数(Z) は、地域ごとの地震活動の傾向を反映する係数で、 0.7~1.0 の範囲で示されています。 ・一部の地域では小さめ(0.7など) ・多くの地域では1.0に近い ただし、地域係数が小さい地域でも大地震は起こり得ます(例:熊本地震) そのため、設計者が安全側に考えて、地域係数を低減せずに扱う判断をすることもあります。 ■振動特性係数 Rt:建物が揺れやすいかどうかを表す係数 Rt は、建物の揺れやすさ(共振しやすさ)を考慮する係数です。 建物の固有周期(揺れの周期)と地盤条件の組み合わせで決まります。 木造住宅では、固有周期を、 0.03 × 建物高さ(m) で見積もります。 例えば高さ10mなら、 0.03 × 10 = 0.3秒 となります。 木造住宅は比較的低層で固有周期が短いので、実務上は Rtがほぼ1.0になることが多い です(つまり、Rtで大きく減るケースは少ない) ※木造住宅の「高さ」は、一般に 軒高と最高高さの中間くらいで扱うことが多いです。 ■Ai(地震層せん断力分布係数):上の階ほど揺れが大きくなることを反映 Ai は、地震力を各階にどう分けるかを決める係数で、上の階ほど揺れが大きくなりやすいことを反映しています。 つまり、同じ建物でも、 ・1階 ・2階 ・3階(あれば) で、地震力の配分は同じではなく、上階側に増幅を見込む考え方になっています。 ■屋根が重いと地震力は大きくなる 地震力は建物の重さが基本なので、屋根仕様の影響は大きいです。 ・軽い屋根(軽量屋根) → 地震力は比較的小さい ・瓦屋根など重い屋根 → 地震力は大きくなる つまり、屋根が重いほど、その分だけ構造部材・耐力壁・接合部などに求められる性能も大きくなります。 ■耐震等級3では地震力を1.5倍で考える 耐震等級3 の計算では、通常の地震力を 1.5倍 にして検討します。 これは、より高い耐震性能を確保するために、「より厳しい条件で建物をチェックする」ということです。 <まとめ> 地震力の算定をひと言でいうと、次の流れです。 建物の重さを把握する →地域差(Z)・揺れやすさ(Rt)・階ごとの分布(Ai)を係数で反映する →各階の地震力を計算する →地震力に耐えられるように柱・梁・壁・接合部を設計する つまり、地震力の計算は、「建物の重さを出発点にして、現実に近づけるために係数で調整する作業」と考えると理解しやすいです。
次回は、連続梁の計算について、お話します。
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