NSJ住宅性能研究所

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荷重と外力(木造住宅)シリーズ4

鉛直荷重設定★

■鉛直荷重(上からかかる重さ)の決め方

建物に上からかかる重さ(鉛直荷重)には、大きく 固定荷重・積載荷重・積雪荷重 があります。

●固定荷重(建物そのものの重さ)

固定荷重は、屋根・床・壁など 建物の部材そのものの重さです。

本来は、実際の仕様(実況)に合わせて積み上げて求めるのが基本ですが、建築基準法施行令84条に載っている標準値を使ってもよい、という扱いになっています。

●積載荷重(人・家具・荷物の重さ)

積載荷重は、人や家具、物が置かれることによる重さです。

住宅以外の用途(事務所、店舗など)については、施行令85条で用途ごとの数値が示されています。

さらに 施行令85条2項では、次のようなルールがあります。

柱や基礎にかかる 積雪による圧縮力(上から押される力)を計算するとき、その柱(または基礎)が 2階以上の複数の床を支えている場合には、一般的な用途なら 積載荷重を少し減らしてよい、という規定です。



■「鉛直荷重は大きめ=安全」とは限らない

荷重は大きく見積もれば安全側、と思いがちですが、鉛直荷重については逆に危険側になる場面があります。

たとえば、耐力壁の端にある柱の 柱頭・柱脚金物を設計するとき、計算上は、

鉛直荷重(上からの重さ)が、地震などで生じる引抜き力(柱が上に引っ張られる力)を打ち消す

という扱いになります。

そのため、鉛直荷重を大きく見積もるほど、

引抜き力が小さく計算されてしまい、金物の必要強さを過小評価する=危険側

になる可能性がある、ということです。

理想的には、積載荷重を、

・大きめに見積もった場合
・小さめに見積もった場合

の 両方で計算してチェックするのが望ましいですが、二度手間になるので、実務ではそこまでしないことも多いです。


■1㎡あたりの積雪荷重の求め方

屋根に積もる雪の重さ(1㎡あたりの積雪荷重)は、次の式で求めます。

積雪荷重: S = μb × hs × p

●S:短期積雪荷重(短期間に起きる最大級の積雪を想定)

 だいたい冬の最大積雪が 数日続くような状態を想定し、50年に1回程度の大きさ(50年再現値)として設定されます。

●μb(ミュービー):屋根形状係数(屋根の勾配による補正)

 屋根が急だと雪が滑り落ちやすいので、積もりにくい=値が小さくなります。

目安として、

・勾配がゆるい → μbは大きい(雪が残りやすい)
・勾配がきつい → μbは小さい(雪が落ちやすい)
・60°を超えると μb=0(雪は積もらない前提)

また、雪止めがある場合は μb=1 とします。
(式で表すと μb=√cos(1.5×β)、βは屋根勾配(度))

●hs:垂直積雪量(その地域で想定する雪の深さ)

 値は 特定行政庁(自治体)が定めるものを使います。

 以前は自治体の区域ごとに一律でしたが、現在はより細かく、標高や海からの影響などを考慮して設定されることが増えています。

●p:積雪の単位荷重(雪の密度みたいなもの)

・一般地域:深さ1cmあたり 20 N/cm/㎡
・多雪区域:深さ1cmあたり 30 N/cm/㎡以上
(これも特定行政庁が定める値を使います)


■μbの例(屋根勾配βによる変化)

・β=20° → μb ≈ 0.9
・β=40° → μb ≈ 0.7
・β=60° → μb = 0

つまり、屋根が急になるほど雪は積もりにくいので、積雪荷重は小さくなり、60°を超えると「雪は落ちて積もらない」扱いになる、ということです。



次回は、風圧力について、お話します。

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