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■接合部の強さは実験で決めるのが基本 木造住宅の接合部(柱と梁、筋かい金物、柱脚金物など)の「許容耐力(安全に使ってよい強さ)」は、原則として実験結果から決めます。 試験は、1種類の接合部につき6体以上の試験体をつくって行うのが基本です。 主に調べるのは次の2つです。 ・せん断(横にずらす力に対する強さ) ・引張(引っ張る力に対する強さ) 試験方法の標準的なやり方は、いわゆる「グレー本」の巻末にまとめられています。
■試験のやり方(例) 接合部の種類によって、試験のセット(試験体の形、固定方法)が異なります。 ・筋かい金物 最近は、金物単体ではなく、壁に組み込んだ状態で試験するのが一般的です。 壁の中の筋かいに引張力がかかるようにして行う、片引き試験がよく使われます。 ・柱脚の引張耐力 柱頭柱脚接合部(引張)の試験方法に近いセットで試験します。 ・梁柱接合部のせん断耐力 横架材(梁など)の端部接合部(せん断)の試験方法に近いセットで試験します。 ■短期基準耐力 T0の決め方(ポイントは「低い方を採用」) 接合部の評価では、まず短期基準耐力 T0という値を決めます。考え方はシンプルで、 ①降伏耐力(Py) ②最大荷重(Pmax)の 2/3 この 2つのうち、小さい方を採用します。 さらに、実験結果にはばらつきがあるので、平均値にばらつき係数(安全側に見るための係数)を掛けて評価します。 つまり一言でいうと、 「降伏する強さ」と「最大まで耐えた強さの2/3」を比べて、安全側(小さい方)を採用する というルールです。 ■降伏耐力(Py)がうまく決められないケースがある 降伏耐力(Py)の求め方は、耐力壁の場合と基本的に同じです。 ただし、荷重-変形のグラフ(荷重変形曲線)の形によっては、「ここが降伏点です」ときれいに決められないことがあります。 例えば、 ・ずっと比例的に伸びていく(はっきり折れ曲がらない) ・めり込みのように、初期剛性と途中の勾配が強く変わる ・最初にスリップ(滑り)が目立つ こういうときは、機械的に計算するだけでは難しく、工学的な判断(実務者の判断)が必要になります。 ■注意:接合部評価は「変形量」が条件に入っていない ここがとても重要です。 接合部の許容耐力は「強さ」で決まりますが、評価の指標に変位(どれだけ動くか)の条件が入っていないことがあります。 つまり、強さは十分でも、変形しすぎて使いにくい接合部があり得る、ということです。 例:耐力壁の柱脚金物 耐力壁の変形は、大きく分けると、 ・回転変形 ・せん断変形 があります。柱脚金物が引っ張られたときに伸び(変形)が大きいと、壁の回転が増えてしまい、壁全体として期待した性能を出せない可能性があります。 そのため柱脚金物では、 許容引張耐力のときの変形量を3mm程度以下に抑えるのが望ましい と考えられます。 ■剛性が重要な構造では「接合部の剛性確認」が必須 たとえば、トラスのように部材を組み合わせて形で抵抗する構造では、接合部がどれだけ硬いか(剛性)が性能に直結します。 そのため、 ・「耐力(強さ)」だけでなく ・「剛性(変形しにくさ)」 も必ず確認する必要があります。
次回は、荷重と外力について、お話します。
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