NSJ住宅性能研究所

MENU 検索

許容応力度計算(木造住宅)シリーズ26

接合部の許容耐力★

■接合部の強さは実験で決めるのが基本

木造住宅の接合部(柱と梁、筋かい金物、柱脚金物など)の「許容耐力(安全に使ってよい強さ)」は、原則として実験結果から決めます。

試験は、1種類の接合部につき6体以上の試験体をつくって行うのが基本です。

主に調べるのは次の2つです。

・せん断(横にずらす力に対する強さ)
・引張(引っ張る力に対する強さ)

試験方法の標準的なやり方は、いわゆる「グレー本」の巻末にまとめられています。



■試験のやり方(例)

接合部の種類によって、試験のセット(試験体の形、固定方法)が異なります。

・筋かい金物

最近は、金物単体ではなく、壁に組み込んだ状態で試験するのが一般的です。

壁の中の筋かいに引張力がかかるようにして行う、片引き試験がよく使われます。

・柱脚の引張耐力

柱頭柱脚接合部(引張)の試験方法に近いセットで試験します。

・梁柱接合部のせん断耐力

横架材(梁など)の端部接合部(せん断)の試験方法に近いセットで試験します。


■短期基準耐力 T0の決め方(ポイントは「低い方を採用」)

接合部の評価では、まず短期基準耐力 T0という値を決めます。考え方はシンプルで、

①降伏耐力(Py)
②最大荷重(Pmax)の 2/3

この 2つのうち、小さい方を採用します。

さらに、実験結果にはばらつきがあるので、平均値にばらつき係数(安全側に見るための係数)を掛けて評価します。

つまり一言でいうと、

「降伏する強さ」と「最大まで耐えた強さの2/3」を比べて、安全側(小さい方)を採用する

というルールです。


■降伏耐力(Py)がうまく決められないケースがある

降伏耐力(Py)の求め方は、耐力壁の場合と基本的に同じです。

ただし、荷重-変形のグラフ(荷重変形曲線)の形によっては、「ここが降伏点です」ときれいに決められないことがあります。

例えば、

・ずっと比例的に伸びていく(はっきり折れ曲がらない)
・めり込みのように、初期剛性と途中の勾配が強く変わる
・最初にスリップ(滑り)が目立つ

こういうときは、機械的に計算するだけでは難しく、工学的な判断(実務者の判断)が必要になります。


■注意:接合部評価は「変形量」が条件に入っていない

ここがとても重要です。

接合部の許容耐力は「強さ」で決まりますが、評価の指標に変位(どれだけ動くか)の条件が入っていないことがあります。

つまり、強さは十分でも、変形しすぎて使いにくい接合部があり得る、ということです。

例:耐力壁の柱脚金物

耐力壁の変形は、大きく分けると、

・回転変形
・せん断変形

があります。柱脚金物が引っ張られたときに伸び(変形)が大きいと、壁の回転が増えてしまい、壁全体として期待した性能を出せない可能性があります。

そのため柱脚金物では、

許容引張耐力のときの変形量を3mm程度以下に抑えるのが望ましい

と考えられます。


■剛性が重要な構造では「接合部の剛性確認」が必須

たとえば、トラスのように部材を組み合わせて形で抵抗する構造では、接合部がどれだけ硬いか(剛性)が性能に直結します。

そのため、

・「耐力(強さ)」だけでなく
・「剛性(変形しにくさ)」

も必ず確認する必要があります。



次回は、荷重と外力について、お話します。

▲このページのTOPへ