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許容応力度計算(木造住宅)シリーズ22

材料の許容応力度★

■許容応力度って何?

部材(木材やコンクリートなど)に力がかかったとき、安全のために、ここまでなら使ってよいと決める上限値が「許容応力度」です。

木材の許容応力度は、建築基準法施行令89条で考え方が示されています。


■木材の基本:基準強度 → 許容応力度への換算

木材には「基準強度」(材料として本来もつ強さの基準)があり、そこから安全側に割り引いて許容応力度を決めます。

木材の許容応力度の基本関係は次のように整理されています。

・長期許容応力度(長い期間ずっとかかる力:自重・固定荷重など)
 長期=基準強度 × 1.1 / 3

・短期許容応力度(短い時間だけ強くかかる力:地震・強風など)
 短期=基準強度 × 2 / 3

この、長期は小さく、短期は大きくできるという考え方は、荷重がかかる時間が短いほど材料は強く耐えやすい、という性質(※マジソンカーブの考え方)をもとにしています。



■雪のときは「中長期」「中短期」を使う

積雪荷重は、ずっとあるわけではないけど、地震ほど瞬間でもないので、長期と短期の中間の扱いをします。

・中長期(雪の長期扱い)=長期の 1.3 倍
・中短期(雪の短期扱い)=短期の 0.8 倍

イメージとしては、

・中長期:3か月程度(多雪地域の雪が載っている期間)
・中短期:3日程度(一般地域の雪が載っている期間)

を想定しています。


■土台などの「めり込み」は、扱いが少し違う

木材同士が押し合うと、接触面が少し潰れてめり込みが起きます。

土台などのめり込みは、地震で即座に倒壊するような、人命の危険というより、沈み・ガタつきなどの使いにくさ(使用上の障害)が中心になりやすいため、別の考え方で許容応力度が整理されています。

めり込み(Fcv)について以下のような係数が示されています。

・長期(積雪時):1.5/3 × Fcv
・長期(積雪以外):1.1/3 × Fcv
・短期(積雪時):1.6/3 × Fcv
・短期(積雪以外):2/3 × Fcv

(※「雪のとき」「雪以外」で係数が分かれている点がポイントです。)


■圧縮材は「座屈(座り折れ)」も考える

柱のように押される部材は、材料としての圧縮強度だけでなく、細長いほど途中で折れ曲がる(座屈する)危険が増えます。

そのため、許容応力度は「細長さ(細長比)」に応じて下がるように決められています。

座屈の許容応力度が、細長比の範囲ごとに、

・短い柱(座屈しにくい)→ 通常の圧縮許容
・細長い柱(座屈しやすい)→ 係数で低減

という形で整理されています(中長期・中短期の考え方も取り入れる、と説明されています)


■46条2項ルート(壁量設計免除)では材料に条件がある

建築基準法施行令46条2項を使って壁量設計を免除する場合、使ってよい材料が1987年 建設省告示1898号で決められています。

ポイントだけ言うと、

・OKになりやすい例:
 JASの構造用集成材、LVL(単板積層材)、大臣認定材など

・製材の場合:
 JAS材で、かつ乾燥材であることが条件

つまり、46条2項ルートでは主要構造部材に無等級材は使えないという理解が重要です。


■木材以外(コンクリート・鉄筋)の代表値も確認

コンクリートや鉄筋の代表的な許容応力度がまとめられています。

・コンクリート(例:Fc21、Fc24)
 長期の許容値(圧縮など)が示され、短期はそれを倍率で増やす形です
 (表では、短期:圧縮=長期の2倍、曲げ=長期の1.5倍、せん断=長期の2倍という整理)

・鉄筋(例:SD295)
 長期は 195 N/mm²、短期は 295 N/mm² が代表値として表に整理されています

(最近は、コンクリートについてより高い基準強度の材料を使う傾向があります)



次回は、鉛直構面(耐力壁)について、お話します。

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