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木造の構造設計では、 ・木材がどれくらい強いか と ・どれくらいたわみにくいか を、数値(材料値)として扱います。 その代表が 基準強度 と ヤング係数 です。
■基準強度とは「かなり安全側の強さ」 主要な樹種の基準強度がまとめられている表があります (日本建築学会「木質構造設計規準・同解説」) ここでいう基準強度は、強度がばらつくことを前提にして、正規分布とみなしたときの 95%下側(下位5%) の値です。 つまり、同じ等級の材をたくさん集めたとき、 ・95%の材は、この値より強い ・弱い側の安全ラインを採用している という意味で、設計に使う強度としてはかなり安全寄りに設定されています。 ■目視等級区分製材は使い方で2種類に分かれる (※目視等級区分製材: 木材を見た目(目視)で検査して等級分けした製材のこと) 目視等級区分製材は、用途の想定によって大きく次の2つに分かれます。 ・甲種構造材:主に梁などの曲げ材向け ・乙種構造材:主に柱などの軸材(圧縮中心)向け ●甲種構造材の強度バランス 甲種では、基準強度に概ね、 曲げ:圧縮:引張 = 5:4:3 という関係があります。 つまり同じ材でも、曲げが一番強く、引張が相対的に弱い、という傾向を押さえておくと理解が早いです。 ●樹種の注意点(ベイマツの話) 「ベイマツは曲げに強い」とよく言われますが、これは主に高等級(1級)の話です。 2級・3級になるとヒノキの方が強かったり、場合によっては3級ではスギより小さいこともあります。 つまり、樹種のイメージだけで判断せず、等級まで含めて比較するのが重要です。 ■乙種構造材(柱向け)で覚えたいポイント 柱向けの乙種では、ヒノキやスギについて、 ・圧縮の基準強度が甲種と同じ ・曲げと圧縮が同じ値として整理されている といった特徴があります。 これは、柱材として扱いやすい形で基準が整理されていると理解するとスッキリします。 ■ヤング係数は平均に近い値を使う(強度とは考え方が違う) ヤング係数(E)は「硬さ(たわみにくさ)」の指標です。 ヤング係数は告示に直接値が載っているというより、実務では 日本建築学会『木質構造設計規準・同解説』などの値を用います。 そして重要なのは、 ヤング係数は 50%下側(だいたい平均) の値 という点です。 強度(95%下側)と違い、Eは、安全側にかなり振るというより、代表値(平均的な値)として扱われる、という違いがあります。 ■機械等級区分製材はE(ヤング係数)で分類される (※「機械等級区分製材」: 木材を機械で測定して等級分けした製材のこと) 機械等級区分製材は、目視等級と同じような傾向で整理されていますが、こちらは主にヤング係数の等級(E○○など)で区分される点が特徴です。 樹種によって、Eが下がると強度がどう変わるかの傾向が違い、 ・ベイマツ等:Eが小さくなると強度が急に落ちやすい ・スギ:その逆で、比較的落ち方が緩やかに見える ・ヒノキ:その中間的 といったクセが読み取れます。 ■無等級材は等級材より低めで位置づけを把握するのが大事 無等級材は、JAS等級が付いていない材ですが、設計で使えるように基準強度が整理されています。 甲種と比べると、 ・ベイマツ・カラマツ:1級と2級の中間くらい ・ヒノキ・スギ:3級くらい に相当するような設定になっているのが分かります。 無等級材は、何となく弱いではなく、どの等級あたりの扱いかまで整理して捉えるのがポイントです。 ■集成材は基本的に樹種よりEと強度の関係で整理される 対称異等級構成集成材では、強度は基本的に、 ヤング係数(E)と強度の組合せで整理され、樹種に依存しない形で扱われる のが特徴です。 (※対称異等級構成集成材: 外側(曲げで効くところ)は高等級、内側は普通等級を使って、性能とコストを両立する集成材」) ただし例外として、 ・せん断強度は樹種ごと ・めりこみ(圧縮の局部)も樹種ごと のように、せん断・めりこみは樹種依存で整理されます。 これは、割れやすさ・繊維の抵抗などが樹種で変わりやすいから、と理解すると納得しやすいです。
次回は、材料の許容応力度について、お話します。
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