NSJ住宅性能研究所

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許容応力度計算(木造住宅)シリーズ10

鉛直荷重への特徴・方針

■鉛直荷重に対する特徴と考え方(木造軸組住宅)

木造軸組構法の構造性能は、大きく分けて次の2つで考えられます。

・鉛直荷重(上から下にかかる力):自重・家具・人・積雪など
・水平力(横からかかる力):地震・風など

このうち鉛直荷重に対する検討は、基本的には他の構造(鉄骨造など)と同じで、

・梁の曲げ(折れようとする)
・梁のたわみ(しなり)
・柱の座屈(細長い部材がくにゃっと曲がる)

といった項目を計算で確かめます。

ただし、材料が木材なので、木材ならではの性質が設計やチェック項目に影響します。代表的なのが次の2つです。


① 荷重継続(長く荷重がかかり続ける影響)

木材は、荷重をかけた瞬間だけでなく、同じ荷重を長期間かけ続けると影響が大きくなります。たとえば、

・時間が経つほど たわみが増える(じわじわ下がってくる)
・すぐには壊れなくても、後から 破壊に至ることがある

こうした、時間が効いてくる性質を考えるために、木造では次のような扱いが入ります。

●許容応力度が、荷重の継続時間で分かれている

木造では、積雪などを想定して、

・中長期(約3か月程度)
・中短期(約3日程度)

のように、荷重が続く時間に応じた許容応力度が用意されています。
(他構造より、時間の影響を強く意識した区分になっています)

●クリープたわみが大きいので、たわみを厳しめに見る

木材は、時間とともに変形が進む「クリープ」の影響が大きい材料です。

そのため、梁などのたわみについては、一般に変形増大係数 2.0を使い、長期的(例:50年)には、初期のたわみの約2倍になると見込んで設計します。

結果として、梁の断面は「強度」よりも、たわみを小さく抑えるために寸法が決まることがよくあります。

② 直交異方性(方向で強さ・硬さが大きく違う)

木材は、金属のようにどの方向でも同じ強さではありません。

木には繊維(木目)があり、

・繊維に平行方向:強い・硬い
・繊維に直交方向:かなり弱い・柔らかい

というように、方向によって性質が大きく変わります(これを直交異方性といいます)

そのため設計では、できるだけ、木目に直交する方向の力が、部材に強くかからない納まりになるよう工夫します。

ただ、実際の建物ではそれを完全に避けられない場面が多く、追加で、大正部分が大丈夫かをチェックします。

代表例が、土台のめりこみ(圧縮)の検定です。

柱からの力が土台に伝わると、木目に直交する方向に局部的な圧縮が生じ、土台がめり込む(つぶれる)可能性があるため、計算で確かめます。



次回は、水平力への特徴・方針について、お話します。

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