NSJ住宅性能研究所

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許容応力度計算(木造住宅)シリーズ8

仕様規定と構造計算2

木造軸組工法の建物を設計するときの考え方は、大きく分けて次の2つがあります。

・仕様規定による方法(ルールに従って決める設計)
・構造計算による方法(計算して安全性を確かめる設計)


■「仕様規定」と「構造計算」は、自由度が違う

仕様規定と構造計算の関係は、ざっくり言うと次のイメージです。

・仕様規定:
 決められたルールに沿って作ればOK。計算は少なめ。
→ 自由度は小さい(標準的な建物に向く)

・標準的な計算法:
 仕様規定よりは計算が増え、調整もしやすい。
→ 自由度は中くらい

・詳細な計算法:
 細かく計算して安全性を確認する。
→ 自由度は大きい(特殊な建物にも対応しやすい)

つまり、

・仕様規定は「ルール中心」
・詳細計算法は「計算中心」

という関係になります。



■仕様規定が簡単なのには理由がある

仕様規定は、いろいろな建物のバラつきがあっても危険にならないように、少し安全側(余裕を見込む)にルールが作られているのが普通です。

また、仕様規定が簡単に使えるのは、「よくある標準的な建物」を想定しているからです。

逆に言うと、標準から外れた建物(変わった形の建物)には、仕様規定だけでは対応しにくい、と考えるべきです。

■ここまでのまとめ:
 標準なら仕様規定でもOK、特殊なら構造計算が必要

ここまでをまとめると、次のようになります。

・ごく標準的な建物なら、仕様規定でも安全に設計できることが多い
・特殊な形の建物は、基本的に構造計算をするべき
・場合によっては、一般的な構造計算ソフトや手法では扱いにくいケースもあり、構造設計の専門家に検討してもらうのが望ましい


■構造計算を強く勧めたい「不整形な建物」の例

●平面が不整形な建物(上から見た形が複雑)

例えば、次のような建物です。

・コの字型(中庭みたいにへこんだ形)
・ロの字型(真ん中に穴があいて回廊みたいな形)

このような形は、地震のときに建物が「ねじれ」たり、角やくびれ部分に力が集中して、壊れやすい場所が複数できる可能性があるという特徴があります。

そのため、構造計算で力の流れを確認するのが望ましいです。

●立面が不整形な建物(横から見た形が複雑)

次のようなケースも注意が必要です。

・2階部分に弱点を持つ建物

2階の面積が急に小さくなる(例えば2階が部分的にしかない)と、
限られた2階の一部に力が集中しやすくなります。

結果として、そこが弱点になり、損傷のリスクが上がります。

●偏心が大きい建物(立体偏心)

一部が平屋で、一部が3階建てなど、建物の高さや重さの分布が偏ると、建物全体の重心が偏って地震時に不利になります。

さらに、

・1階が大空間
・大開口(大きな窓やガレージ開口など)

があると、1階の耐力要素が不足しやすく、一部の部材に大きな力が集中して危険性が高まります。

参考資料:「木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2017年版)」日本住宅・木材技術センター発行



次回は、力の流れについて、お話します。

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