NSJ住宅性能研究所

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許容応力度計算(木造住宅)シリーズ7

ZEH基準の3つの方法

■ZEH化で建物が重くなる→ 地震力が増える → 必要壁量も見直し

断熱を厚くする、トリプルガラスにする、太陽光パネルを載せる…などをすると、家は従来より重くなることがあります。

重くなると、地震のときに建物にかかる力(ざっくり言うと揺すられる力)も増えやすいです。

そこで国交省は、木造の壁量などを 「軽い屋根/重い屋根」のような大ざっぱ区分ではなく、実際の荷重(重さ)に応じて決められるように」見直しました。

これらの構造関係告示は 2024年に公布され、2025年4月1日から施行です。

さらに、壁量等については 経過措置があり、条件を満たす木造(例:地上2階以下・高さ13m以下・延べ300㎡以内等)では、事情により 2026年3月31日まで改正前基準も使える扱いがあります。



■「3つの方法」整理
(※2022年のZEH壁量案 → 2025改正では荷重実態ベースに統合)

※下記3つの方法は考え方として今でも有効ですが、2025改正ではZEH専用表というより、荷重実態を入れて必要壁量を出す枠組みに整理されています

●方法①:
 荷重(重さ)の実態から、必要壁量を計算して確かめる(基本形)

いまの基本はこれです。

屋根が軽い/重いで決め打ちせず、屋根・外壁・床・断熱材・太陽光などの荷重を入れて、各階の必要壁量を出します。

必要壁量(床面積あたり)は、次の形で計算します(在来軸組の例)

Lw=(Ai⋅C0⋅Σwi) / (0.0196⋅Afi)

Lw:床面積あたりの必要壁量(cm/㎡)

Ai:建物の高さ方向の揺れ方を反映する係数
 (建物が高いほど不利になりやすい)

固有周期 T=0.03h(h=建物高さm)を使って算定

C0:標準せん断力係数(原則0.2、指定区域では0.3)

Σw:その階が地震時に負担する固定荷重+積載荷重
  (必要に応じて積雪も)

Afi:当該階の床面積(㎡)

<ポイント>

「重い家ほど Σwi が増える → 必要壁量 Lw も増える」ので、ZEH等で重くなる分は、ここで自動的に反映されます。

●方法②:
 早見表(代表仕様の表)で確かめる(表で済ませる簡易版)

2022年の「ZEH水準等の必要壁量表(例:25, 53…)」は 案としての整理でしたが、2025改正では、国交省側の整理としては 、「荷重実態式(方法①)」をベースに、代表仕様の「試算例(早見表)」や「表計算ツール」で簡単に確認できる方向で用意されています。

・早見表:代表的な仕様の組合せで必要壁量の試算例を示す
・表計算ツール:諸元入力で必要壁量を算定

つまり方法②は、いまは、ZEH専用の固定表よりも、「荷重実態式(方法①)」を、「早見表/ツール」でラクに使う方向に寄っています。

●方法③:
 構造計算で確かめる(壁量計算を省略できる条件がある)

これが一番強い方法です。

2025改正では、一定条件を満たして構造計算(例:昭和62年告示1899号の構造計算)で安全確認できる場合、壁量(告示1100号の壁量基準)を適用除外にできる扱いが明確化されています。

ただし、何でも壁量不要ではなく、例えば次のような条件が付いています(代表例)

・各階、各方向で、壁/筋かいが負担する水平力割合が 0.8以上
・7倍相当を超える高耐力壁を使わない
・CLTパネル工法(所定告示対象)によらない
など

この場合、確認する計算項目としては、少なくとも、

・許容応力度計算
・層間変形角
・偏心率
(・条件によって剛性率または壁量充足率比)

等が整理されています。


■46条2項ルート(いわゆる「集成材等建築物」)との違い

46条2項ルートは、壁量規定を外す代わりに、材料制限(主要部材は告示1898号等に適合する集成材・JAS材等)などの条件が付きます。

一方で、上の「方法③(構造計算で壁量基準を適用除外)」は、構造計算+追加条件で合理化する整理で、46条2項ルートとは要件の掛かり方が違います(材料制限が前面に出るのが46条2項ルート)

・46条2項
 =「材料もガチ縛り+計算」
・構造計算での適用除外
 =「計算で安全を示す(+高耐力壁などに上限条件)」


■2025施行後の現実的な使い分け
(平屋・2階建て中心、16m超は省略)

●低層(地上2階以下・高さ13m以下・延べ300㎡以内など)

・基本:方法①(荷重実態式)を、早見表/表計算ツールで運用
・経過措置:条件により 2026/3/31まで旧基準も可

●地上3階(高さ16m以下)

・選択肢A:
 条件を満たして 告示1899号等の構造計算
→ 壁量基準を適用除外(方法③)

・選択肢B:
 46条2項ルート(材料制限等+許容応力度計算等)


■2025改正で壁量設計がやりやすくなった点(重要)

・垂れ壁、腰壁など(準耐力壁等)を、一定条件で「存在壁量」に算入できるようになった
・壁倍率の上限が 5 → 7へ(高耐力壁を一定範囲で使える)
・階高が高い(例:3.2m超)場合の倍率低下や、接合部検討(N値計算法)なども整理



次回は、仕様規定と構造計算について、お話します。

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